蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-09

[][]四月九日 あらゆる宗教が単に空想的まぼろしにすぎない はてなブックマーク - 四月九日 あらゆる宗教が単に空想的まぼろしにすぎない - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 あなたは時おり、突然あらゆる宗教が単に空想的まぼろしにすぎないと思われることがあっても、そのためにあなたの信仰の道で、決して怯えて歩みをとめてはならない。わたしの知るところでは、そういうことは、人類の精神的戦いと経験について多生詳しい知識を持っているかなり教養の高い人には、だれにでも起ることである。元来、教会そのものが維持されているのも、すべての歴史や哲学や倫理学や教育学などがあまりに論議の余地が多く、しかも一方、すでにある程度動物以上に進んだ人間には、超感覚的なものに対する要求が深く内在していて、それは根絶することも、ほかのもので補うこともできないという事実を、人びとが絶えず新たに見抜くからである。このことを否定する人たちにあっては、彼らがどんなに教養に富んでいようとも、ふたたび獣性が彼らをしだいに支配するようになるだろう。これこそわれわれがまさに欲しないものであって、それというのも、われわれがこのような獣性をのり越えて、より気高い存在に進む資格を取得するという、この人生の目的全体をなおざりにしないためである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫