蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-13

[][]四月十三日 キリスト教の最初の時代に現れた はてなブックマーク - 四月十三日 キリスト教の最初の時代に現れた - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 キリスト教の最初の時代(概していえば、その時代は現代よりよくはなかった)に現れたあの霊的能力が、今でも存在しうることは、否定できない。現在それが存しないとすれば、とにかくその責めはわれわれにある。しかし、第六感とか「透視力」とか呼ばれるものも、やはりありうるものであって、普通には目に見えないものや耳に聞こえないものが、そういう能力ある人たちには、往々知覚されるのである。しかしそういうことがひんぴんと起る場合には、神経性の病気であり、また、だれかがそうしたことをやたらに吹聴するならば、おそらく何かよくない企みがあってのことであろう。いずれにしても、こういう能力は、きわめって慎重に取扱うべきもので、それが人間の自由な意志を永いあいだ抑圧するような力となってはならない。

 タボル山上で使徒たちが見た事*1も、そういうふうに説明せらるべきであるが、ことキリストの復活に関しては、同じような説明はできない。このような事柄についてはあまり深く気にかけないがよろしい。

 人間が体験しうる最高最善のことは、透視などではなくて、神のそば近くにあるという実感であって、これはそのような異能とは全く無関係である。

 「しかし、かような超感覚性に属する事柄にどの程度までたずさわってよいのか、それとも、全くこれを避けるべきかを知るには、どうすればよいのだろうか。」

 この問題は常識だけでは決定しがたい。なぜなら、それでは結局、否定しえないもの、また聖書にさえ記されている多くの事をも否定することになるからである。しかし私自身の経験によれば、人間には一つの本能的な感覚がそなわっていて、これがまごうかたなく嫌悪感の形で(たとえば多すぎる食物や有害な食物を拒むのとちょうど同じ具合に)無用な思惟の領域にこれ以上深入りしないように、警告を与える力をもっている。しかしひとはこのかすかな警告に対して注意ぶかく心の扉を開けておかねばならない。というのは、ひとは精神的に不健康なものにも慣れやすく、ともするとその不健康なものを欠かせないものにまで変えることがありうるからだ。ごく近い将来に、そういうことが多くの人たちに起るであろう。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

マタイによる福音書 17

The Gospel According to MATTHEW 17
イエスの姿が変わる

1 Now after six days Jesus took Peter, James, and John his brother, led the up on a high mountain by themselves;

1 六日の後、イエスはペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。

2 and He was transfigured before them. His face shone like the sun, and His clothes became as white as the light.

2 イエスの姿が彼らの目の前で代わり、顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。

3 And behold, Moses and Elijah appeared to them, talking with Him.

3 見ると、モーセとエリヤが現れ、イエスと語り合っていた。

4 Then Peter answered and said to Jesus, "Lord, it is good for us be here; if You wish, let us make here three tabernacles: on for You, on for Moses, and one for Elijah."

4 ペトロが口をはさんでイエスに言った。「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。お望みでしたら、わたしがここに仮小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのため、一つはモーセのため、もう一つはエリヤのためです。」

5 While he was still speaking, behold, a bright cloud overshadowed them; and suddenly a voice came out of the cloud, saying, "This is My beloved Son, in whom I am well pleased. Hear Him!"

5 ペトロがこう話しているうちに、光り輝く雲が彼らを覆った。すると、「これは私の愛する子、私の心に適う者。これに聞け。」という声が雲の中から聞こえた。

6 And when the disciples heard it, they fell on their faces and were greatly afraid.

6 弟子たちはこれを聞いてひれ伏し、非常に恐れた。

7 But Jesus came and touched them and said, "Arise, and do not be afraid."

7 イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。「起きなさい。恐れることはない。」

8 When they had lifted up their eyes, they saw no one but Jesus only.

8 彼らが顔を上げて見ると、イエスの他にはだれもいなかった。

9 Now as they came down from the mountain, Jesus commanded them, saying, "Tell the vision to no one until the Son of Man is risen from the dead."

9 一同が山を下りるとき、イエスは、「人の子が使者の中から復活するまで、今見たことを誰にも話してはならない」と弟子たちに命じられた。

新共同訳『新約聖書』国際ギデオン協会

*1マタイによる福音書一七の一以下。キリストが高い山の上で突然変容した事を指す。(訳者注)