蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-17

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 肉体的原因のために自分が元気なく感じたり、憂鬱だとだと思ったりする場合(これは最も内的に進歩した人びとでも、精神が肉体性に縛られている限り起りうることだ)、あなたはそういう状態を実際以上に重大に考えないがよい。肉体というものは、それ自身のためにあるのでなくて、精神のために維持せられるべき一つの機械である。従って肉体のために必要以上に心を労すること、さらにすすんで単に「健康のためにのみ生きる」こと、あるいは何はさておき健康のみを念ずることは、精神的な人間にとってはふさわしいものではない。そういうことは、せいぜい重い病気の時だけ許されることだ。だが、その場合でも、精神はできるだけ早く、また十分に、その主権を取戻さねばならない。わたしたちは将来、もはや少しも肉体に縛られなくなったときに初めて、完全な永続的な健康と力との実感を所有することができよう。しかし、現世ですでに肉体にあまりに強く左右されない人びとしか、そのような健康を持つことはできないだろう。肉体のために生き、またそれにのみ仕えてきたような人たちが、さて突然死によって、どうして純粋な自由な霊となることができようか。そんなことは不可能である。だから、この世では、まずほどほどの健康で満足することにしよう。「主なる神よ、どうぞあなたの祭司たちに救いの衣を着せ、あなたの聖徒たちに、かれらの持てる恵みを喜ばせてください」歴代志下六の四一。しかしわれわれは、われわれが目ざして進んでいる未来の健康を、楽しみとしよう。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫