蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-19

[][]四月十九日 療養地のどこか一個所を観察しただけでも はてなブックマーク - 四月十九日 療養地のどこか一個所を観察しただけでも - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 今日の療養地のどこか一個所を観察しただけでも、死に近づきつつある肉体のためにどんなに多くのことがなされ、また、どんなに多くの人たちが決して真の永続的な成果を生じるはずがない事柄に熱中しているか、わかるであろう。死をすこし延ばすことだけが、彼らが成しうるすべてである。しかも、すでに彼らの大部分が癈人――しばしば、ぞっとするような癈人――なのである。彼らは、肉体のことにくらべて、永続的な内的人間のことや、またその健康と生命とについて、心を用いることがどんなに少ないことだろう。実は、この方が真にやり甲斐のあることなのだろうに。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫