蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-25

[][]四月二十五日 人びとの交わりは はてなブックマーク - 四月二十五日 人びとの交わりは - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人びとの交わりは、なんといってもすっかりやめることはできないが、その正しい交わり方はやはり一つの才能であり、真に有効な才能でさえある。ところが、その他の点ではすぐれた人たちであっても、この才能を持たないことが珍しくない。

 最もよい交際の方法は、自然で親しみのある、なごやかな、相手の心に平和の印象を残すようなものであり、それだからキリストもまた、その弟子たちにそれをすすめている。だが、このような仕方は、熱情的な性向の人たちにはまったく不向きだし、また、もの足りないであろう。最もよくないのは、相手を感嘆させようとする態度であって、これは善良さよりも偉大さを目指す今日の時代に似つかわしいものだが、とにかく、そういう態度そのもののなかにすでに罰が含まれているのである。というのは、それはただ愚か者かいくじなし相手の場合にしか成功しないもので、神の霊にみたされた人びとに対しては全く効果がないからである。だから、その「崇拝者」といわれる人たちも、つねにあやしげな連中であり、――その崇拝が最大の人物に向けられている場合でさえ――うそつきか、自分ではほとんど無能なものかである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫