蜀犬 日に吠ゆ

1919-04-27

[][]四月二十七日 人間の性格のなかにも はてなブックマーク - 四月二十七日 人間の性格のなかにも - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人間の性格のなかにも、神経と関連している要素が多い。もし神経を持続的に鎮めることができるならば、人間の幾多の短所、たとえば我儘、怒りっぽさ、恐怖心、気苦労、人怯(お)じ、人間嫌い、怠惰などの性癖も、しだいに、全くひとりでに、消え去るであろう。だが、反対にそれができない場合には、それらの性格の欠点が病的に威をふるうようになるのだ。しかし、医師や教師や社会事業家にとっては、もう一つの問題が残されている。つまり、神経をただ外的な手段(薬剤)だけで安静にすることができるか、また進んだ病状においてもそうした手段だけで永続的に治療することができるかどうか、という問題である。この点について、われわれの意見は、まだ現代の医学の見解と完全に一致しているわけではない。しかし、今日の医学がしだいにより良い、唯物論的色彩の少ない見解に近づきつつあることは明らかである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫