蜀犬 日に吠ゆ

1919-05-02

[][]五月二日 地や戦争が起りしかもにせ預言者が現われ はてなブックマーク - 五月二日 地震や戦争が起りしかもにせ預言者が現われ - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 マタイによる福音書二四の六・七・一一―一四*1は、またもや、われわれが現在生きているこの時代に、ほとんどぴったり当てはまる。すなわち、すべての民族において、地や戦争が起り、しかもにせ預言者が現われ、またこの愛の福音についての皮相な説教とならんで愛の冷却が見られることなどがそれである。これに対して、われわれのなすべきことは、単なる唯物論に代って今やふたたび現われはじめたあらゆる狂信を遠ざけること、また、愛をできるかぎりこの世の中で生かしつづけることである。この後者の方がずっと困難な事柄である。なぜなら、愛が本当にその人生経験の結論となっているような人びとは、今日まだわずかしかいないからである。むしろ、その反対の結論を抱いている場合の方が、現代の教養ある階級全体を通じて普通になっている。それにもかかわらず、現在あるがままの世界は、どんな科学的啓蒙だの教養だのによっても今後有効に救われる見込みはなく、むしろただ、良識ある愛がいちじるしく増すことによってのみ、救われることができよう。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。民は民に、国は国に敵対して立ちあがるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地があるであろう。」「また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。しかし最後まで耐え忍ぶ者は救われる。そしてこのみ国の福音は、すべての民に対してあかしをするために全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。」