蜀犬 日に吠ゆ

1919-05-14

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 マタイによる福音書六の三三・三四*1のために。

 ひとは過ぎ去ったことをもはやかれこれ考えず、また同じように将来のためにあまり取越し苦労しない習慣を一旦養ったならば、時間の点でも、心のやすらぎの点でも、実にうるところが多いであろう。

 しかしそのためには、われわれのことを心にかけている誠実な神を持つことが肝要である。そうでなければ、ことに心配のない生活などは不可能であり、それこそまさに軽率というものだ。神にたいする溌剌たる愛と結びついて、はじめて不安のない生活ができるのであって、すでに多くの人がその生涯でこのことを経験している。私自身にとっては、以前私の心配のたねになった多くの苦難が、それによってまったくとり除かれるか、それともずっと耐えやすいものとなった。また私の生涯におけるすべての善は、私が予期しないのに不意にやって来た。たいていの場合、私はそれに対して十分な用意をしていなかった。というのは、神が私に対して抱いている道に添わないような計画に、私は多くの時間を浪費していたからである。人間を頼りにすることは常に危険である、しかもそれらの人が身分あり、高い地位にあればあるほど、ますますそうである。エレミヤ書一七の五―九*2

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて添えて与えられるだろう。だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。」

*2:「おおよそ人を頼みとし肉なる者を自分の腕とし、その心が主を離れている人は、のろわれる。……おおよそ主をたより、主を頼みとする人はさいわいである。……」