蜀犬 日に吠ゆ

1919-05-28

[][]五月二十八日 神は時おり自然の出来事や自然の事物を通して はてなブックマーク - 五月二十八日 神は時おり自然の出来事や自然の事物を通して - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

五月二十八日

 神は時おり、自然の出来事や自然の事物を通して、私たちに話しかけることもある。これは現代の人びとにとって、まだしも一番早わかりのする言葉である。時には花を通しても、特に愛らしい話し方で語られる。しかし、いつも生気を欠く切り花や、温室で人工的に育てられた花を通して話されることはない。――ヴァンダル族*1のような、乱暴な女たちの手でどしどしむしり集められ、じきにしおれてしまうアルプスの花は、ただ悲しい言葉しか語らない。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:紀元五世紀にローマに侵入し文化を破壊したゲルマンの一種族。