蜀犬 日に吠ゆ

1919-06-12

[][]六月十二日 だれでも神やキリストを直観的な啓示に はてなブックマーク - 六月十二日 だれでも神やキリストを直観的な啓示に - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 マタイによる福音書一一の二七*1。だれでも神やキリストを直観的な啓示によるほかに知るすべはない。それにもかかわらず、こんなにもおびただしい神学やキリスト論が書かれる、しかも今でもあらためて書き始められようとは!

 あなたはどんな種類の「イエス伝」にも信頼してはならない。たとえそれがイエスに好意ある精神をもって書いてある時でも。

 いかなる人間も、自分の力でそのような伝記が書けるものではない。そしてそれができる者は決して書きはしない。ある人がそういう本を書いたという事実だけで、その人に不利な証拠となる、この言葉が個々の場合にどんなに苛酷に聞えようとも。そのような人もきっとこのことを思い知ったにちがいない。だから、われわれもあえてこれを主張することができるし、また、そういう書物を拒むのも当然である。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知るものは父のほかにはなく、父を知る者は、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほかに、だれもありません。」