蜀犬 日に吠ゆ

1919-06-22

[][]六月二十二日 古き人間アダムを改善しようとしても はてなブックマーク - 六月二十二日 古き人間アダムを改善しようとしても - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 マタイによる福音書九の十六・十七*1。古き人間アダムを改善しようとしても、うまくゆかない。それをやってみれば、だれでもみなこの経験をするであろう。古き人のほかにひとりの別の新しい人が生まれて、彼をしだいに征服し、追い払わなければならない。このことは、キリストがニコデモに説き示した(ヨハネによる福音書第三章)ことであるが、その当時からすでに神学上の最大の謎の一つであった。明らかにニコデモもそれを完全には理解しえなかったのである。

 現代のわれわれにとって、この教えは、とくにプロテスタントの教理問答書の主な教理の一つである。キリストによる「人間の罪の身代りの贖い」の考えと矛盾する。実際この贖罪説は、おそらくただキリストへの愛によってのみ、上に述べた教えとも調和しうるであろう。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「だれも、真新しい布ぎれで、古い着物につぎを当てはしない。そのつぎきれは着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなるから。だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう。」