蜀犬 日に吠ゆ

1919-06-23

[][]六月二十三日 もう全く働かなくなった老人たちは はてなブックマーク - 六月二十三日 もう全く働かなくなった老人たちは - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 もう全く働かなくなった老人たちは、ともすれば自分を余計者と感じがちで、このつらい意識のために怒りっぽく、口やかましくなるか、それとも、彼らにいくらかの権力と意義を与えてくれるただ一つのものである財産にしがみつき、はては、そのためしだいに貪欲に傾いてゆく。

 「老年の知恵」も、しばしば、ただうるさいだけに思われる。というのは、若い人は、かような知恵が自分の人生段階にはまだぴったりとはしないものだ、という正しい感じを持つからである。

 だから、老年になったら、ごく静かにし、まだやれる程度で働きながら日を送るのが、一番正しいことである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫