蜀犬 日に吠ゆ

1919-07-13

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 「神が人の眼に見えないということは、神の本質によるのではなく、神の神聖とわれわれの汚れのために神がかくされているのである。」

 現代のある著述家のこの考えは、もしその通りだとすれば、われわれの人生観をすっかり変えてしまうかも知れない。だが、それにしても、この表現の仕方はいくぶん改める必要があろう。というのは、言葉の本来の意味で霊というものは、なんといっても眼に見えるものではないからだ。われわれは神を自明的に近づきえないものとみなすことに慣れているが、それは諦める、というよりもむしろ、それですっかり満足しきっているのである。だが、もし事実はそうでなく、われわれが神に近づきうるのなら、人生はなんと変容することであろう! 実際、聖書はわれわれとは異なった考え方をしており、そのどのページにも、今のわれわれには全く理解しがたく無縁のものとなった超現世的世界との交わりを、可能なものとして示している。ただしそれは、今日の霊交術のいわゆる「霊媒」を通して行うものではない。こういう霊媒たちは異常な病的な人間にすぎない。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫