蜀犬 日に吠ゆ

1919-07-14

[][]七月十四日 もし歴代のローマ教皇が はてなブックマーク - 七月十四日 もし歴代のローマ教皇が - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 もし歴代のローマ教皇が、ヨハネによる福音書一四の一七にいうような「真理のみ霊」を、つねに持っているという確証があるならば、たといカトリック教会に属していなくても、われわれはよろこんで彼の言葉を聴き、それを信じるであろう。霊的な事柄において絶対に誤りをおかさない人がだれかひとりでも、その時その時に、地上にいてくれたら、それは素晴らしいことにちがいない。だが、それはたぶん神の計画でも意志でもなさそうである。そうではなくて、それぞれの人がみずから真理を、いや、まさにこの真理のみ霊を求めねばならないし、またそれを持つことができる。これが神のみこころである。歴代の教皇が、宗教上の事柄においても、ましてその他の事柄においても、この霊を必ずしも持っていなかったことは、歴史が十分に証明している。といっても、宗教改革者や、プロテスタントの教会会議委員や、あるいはこの派の各教会の最高首脳たちも、この点で特に恵まれていたわけではない。また、人間によるどんな聖別も、このみ霊を授けることはできない。み霊は風のように思いのまま吹き、随時、その器となるべき人間をみずからさがし出すのである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫