蜀犬 日に吠ゆ

1919-07-19

[][]七月十九日 今われわれに必要なものは はてなブックマーク - 七月十九日 今われわれに必要なものは - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 今われわれに必要なものは、精神のはつらつとした新生、なおそれにつけ加えたいのは、肉体の新生である。たとえば、原始キリスト教や宗教改革の初期、フランス革命の勃発記、あるいはアメリカ独立戦争や南北戦争の当時、ドイツの自由戦争やイタリアの再興統一運動(リソルジメントオ)の頃などにあらわれたはつらつとした状態がそうである。かような時期には、勇気と力の精神が、老化した世界にふたたびくまなく浸透していった(ところが、今やこのような精神が全く欠けていて、現代のいかなる技術的進歩、いかなる芸術や科学をもっても、それを補うことができない)。こういう時期には、これまでまるで認められていなかったすぐれた人物が、突然、現れて、新しい事態を創造する。新しい時代は、ただこのような仕方でのみ始まるのであって、二、三の浅薄な人たちによって指導される、単なる大衆運動から生まれることはない。

 大衆の影響力に大きな価値を置き、多くの新聞にのっている事だけを重んじるような人間は、一般に、真に偉大なことには役立たないものである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫