蜀犬 日に吠ゆ

1919-07-27

[][]七月二十七日 イザヤ書は三千年後の今日 はてなブックマーク - 七月二十七日 イザヤ書は三千年後の今日 - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 しかし、イザヤ書第五六章や、第五七章の一〇―二一は、ほとんど三千年後の今日これを読んでみても、まるでわれわれ自身の時代のために書かれたもののように感じられる。今日神から離れて、一人で勝手に生きている人たちは、本来あわれな人間の心があこがれ求めてやまない平安の感情を、あの当時と同じように、今もやはり持っていない。どんな社会改良や、知識の進歩や、物質的生活条件についての認識の増大によっても、彼らに平安の思いを与えることはできない。これら外的な事物は、人間の内的生活から全く離れた領域のことであって、多くの学者や技術家にとっては神の代用物であろうが、それも決して完全な代用をなしうるものではない。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫