蜀犬 日に吠ゆ

1919-07-29

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 ドイツの英雄伝説のなかでは、『ヴァルターとヒルデグントの歌*1』が私の一番好きなものだった。このふたりの英雄の子たちがハンガリアから今のフランスまで、手をたずさえて落ちのびていく有様は、いかにも誠実なドイツ風の愛(ミンネ)(騎士的愛)と婚約関係の一幅の絵であって、くだくだしい言葉や感傷は一切ともなわず、ほかのゲルマン文学の、またおそらくあらゆる民族の、どんな詩にも見られないような、心情のあからさまな率直さと純潔さをもって描かれている。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:一〇世紀頃の英雄叙事詩、修道士エッケハルトの作か。フン族のアッチラの宮廷に人質とされたヴァルターが、愛するヒルデグントとそこを脱走し、追手と幾度も戦ったのち、勝利をおさめ、愛を成就した物語。(訳者注)