蜀犬 日に吠ゆ

1919-08-16

[][]八月十六日 預言者はひたすら はてなブックマーク - 八月十六日 預言者はひたすら - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 民数記二三の一二*1。預言者(バラム)はひたすらこの言葉を守りつづけるべきであったろう。

 今日でも、部分的には神の霊にはげまされ活気づけられているように見える人たちがいる。しかし、自分勝手なつけたしが非常に多く、あるいは名誉欲や、そのほかの不純な下心を持っているので、彼らの言葉に含まれている善いものが効力を失ってしまう。ところが、彼らの言葉そのものは、そのなかに神から来たものでなくて、彼ら自身のものが加えられていたるために、かえって現代人にはわかりよく、気にいるのである。

 トルストイはそのような偉大な実例である。別の例をあげると、マホメットもそうであり、アーヴィングやドーヴィ*2も同様である。

 キリストもそのような誘惑をうけたが、当時の聖書をあくまで守った。これは今日でも冷静を失わないための最もよい方法である。ルカによる福音書四の四―一二。

 もしある人が、自分だけの衝動から事を行ってなに一つ成功しないなら、それは神の特にはかり知れない恩寵なのである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「バラムは答えた、『わたしは、主がわたしの口に授けられる事だけを語るように注意すべきではないでしょうか』」

*2:アーヴィング(一七九二―一八三四)、ドーヴィ(一八四六―一九〇七)、いずれもイギリスの狂信的教派の創始者。