蜀犬 日に吠ゆ

1919-09-10

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 自分自身のことは全く語らないのが、一番よろしい。口に出しても、手紙ででも、そうだが、日記のなかでは特にそうである。自讃にわたることは、いやなあと味をもつし、また、自己非難は、われわれの存在と生命の根源である神のみ業に、ともすると触れることになるので、これもなすべきではない。

 他人はわれわれを大体において正しく評価するものである。われわれはそんなことを気にやむ必要はない。真に有為な人がながく軽んじられたためしはいまだかつてない。多くの人びとがしっかりした頼りと支えとを必要としているために、おのずからそうなるわけだ。われわれ自身にとっては、あらゆる自己評価のかわりに、そういう他人の評価で十分である。テモテへの手紙一の一六、六の一二。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫