蜀犬 日に吠ゆ

1919-09-11

[][]九月十一日 人間が互いにもっと単純に はてなブックマーク - 九月十一日 人間が互いにもっと単純に - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人間が互いにもっと単純に交わる気になったら、この世はずっと住みやすくなるだろう! いつわりの遠慮などせず、だがまた、人の言葉の裏に好意や親愛以外の意味を読んだりしないように! ところが、実はそうでなくて、ひとの親切そうな言葉も、タレーラン*1が考えたように、「本心をかくすため(プール・ディシミュレ・ラ・パンセ)」にすぎぬ、などと、不当にも思いこみがちである。

 決してそう考えてはならない。むしろ、無邪気な子供のように、まず初めに、ひとの言葉には必ずつねにその善意と誠実とを、自明のものと仮定してかかるがよい。のちになって、そうでないことがわかろうとも、その方がやはり、あなたにとって都合よくいくのである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:タレーラン(一七五四―一八三八)、ナポレオンの頃の老獪な外相