蜀犬 日に吠ゆ

1919-10-03

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 あなたが「社会問題」に実践的にもっと深く携わってみたいというのなら、むろんそれに対してすこしも異論はないし、また、それをする機会も十分にある。これに反して、その単なる理論的研究は、あなたに大して役に立たないばかりか、その上、それについて書いたものなら、すでにいやというほどである。

 しかし、この問題の最もよい解決策は実践力あるキリスト教だ、という考えを、しっかり持ちつづけてもらいたい。この信仰がなければ、どんなよい考えをもった人でも、その大きな任務を遂行するのに必要な、普段の意志力と忍耐力とを欠くことになる。それどころか、憎悪や、嫉妬や、運命にたいする不満、などの悪い情念からの解放ということが、零落した貧しい階級をその悲惨から引き出すべき社会的モーターの動輪*1によってなされるとすれば、倫理的秩序との一致を欠くことになる。しかし、この秩序に逆らって戦うことは絶対に不可能なことである。このことは、いずれ近いうちに、新しく証明されるであろう。ヨハネによる福音書一三の三四*2、六の一五・二六・二七。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:唯物論的社会主義運動を指すのであろうか。(訳者注)

*2:「わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」