蜀犬 日に吠ゆ

1919-10-09

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人を愛したいと思うなら、――しかも、これはすべての人間教育に肝要なことだが――さばくことをやめなくてはならない。

 どんな幼児や生徒、またはそのほかどんな人間でも、彼らと精神的関係に入るかぎり、あなたが彼らをさばいているかどうか、彼らは本能的に感づくものである。すると、彼らにも、キリストがマタイによる福音書七の二*1で言っていることが、起こってくる。つまり、彼らもまたさばくのである、しかも厳しい尺度でもって。こうなるともう、信頼のきずなは切れ、憎悪と不信の隔ての壁がきずかれて、あらゆる真の教育はさまたげられる。われわれのすべての学校や、多くの家庭が、この病いにかかっている。高等動物を調教する場合でさえ、その通りだということは、馬や犬のことにくわしい人なら、だれでもそう言うことができる。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。」