蜀犬 日に吠ゆ

1919-10-15

[][]十月十五日 愛はつねに はてなブックマーク - 十月十五日 愛はつねに - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 愛はつねに、見るからにこころよいものである。幼い子が小さな猫や小鳥やうさぎや、いや、それどころか、木ぼりの人形を、ただやさしく抱いている時でさえ、人間らしい自己教育が行われているという感じを受ける。これと反対に、学校教育のシステムは、いたずらに名誉心を刺戟するもので、若い人たちを一つの誤った軌道にみちびき、人生においてひたすらこの道を踏みつづければ、最後に彼らは、かならず野心家で、完全なエゴイストとなるにちがいない。そこで、キリストもまた、愛が姿を変えたような種類の罪にたいしては、おどろくほど寛大である。なぜなら、こうした罪は、少なくともほかの罪ほどひどく心を「石にする」ことがないからである。だから、このような人びとは、まだ罪のゆるしを受け、回心の機会に接する見込みがより多く残されているわけである。この点においても、われわれはキリストに従うがよろしい。

 ルカによる福音書七の四七―五〇*1、エゼキエル書三六の二五・二六。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない。……」