蜀犬 日に吠ゆ

1919-10-19

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 われわれがもうとっくに克服してしまったと思っていた、内的・外的の試煉や誘惑が、より高い人生の段階においてもなお、くり返されることがよくある。そうしたことが起っても、あまり驚かないがよい。こういう場合こそ、すでに獲得した人生観が真価を発揮するのである。そのとき、ある人たちはペシミスティックになってこう言うだろう、すなわち、人生はもともと偶然の残酷なたわむれか、それとも有害な人たちのきままなたわむれかにすぎず、それが果てしなくつづくものだ、これに対する最終的な安らぎは、要するに死においてよりほかにはないだろう、と。ところが、他の人びとはこう言う、これまで、神は同じような場合にいつも助けてくださった、こんどもまた、しかも、なお最後まで、助けて下さるにちがいない。そうしたらさらに、より高い生活に入る希望が待っているのだ。そこの生活では、その他の点はどんな状態であるにもせよ、とにかく、この世のおもな困難はもはや起りえない、と。

 だから、しばらくのあいだなお辛抱して信頼を失わないことが、なにより大切である。そうすれば、すべてを勝ちとることができる。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫