蜀犬 日に吠ゆ

1919-10-31

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 詩篇第二三、二五、三二篇、イザヤ書第四九、五四章。神に使える生活よりも「興味のある」生活はない。それは、深淵をくぐりぬけ、歓喜にみちた天上の谷々を通って、登ったり降ったり、限りなく大きな内的躍動をともなう生活であり、しかも、途中で出会うすべての危険がつねによい結果をもって終るのである。

 この生活はもとより「やわらかな憩いのしとね」ではない。だが、この地上の生活から何よりもまず「霊といのち」とを求め、また、好んで意義あることや非凡なことを体験したいと望む人びとにとっては、ほかのどんな生活もこの生活とは比べものにならない。しかも、この生活は、だれでもが、すべての人のために、いたるところで、ひとしくこれに入ることができる。自分の力を、もっとつまらぬことに浪費している人は、気の毒である。ユング・シュティリング*1の『郷愁』は、この生活について、いささかロマンティックではあるが、よく描いている。歴代志下二〇の二〇。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:ユング・シュティリング(一七四〇―一八一七)、ドイツの著述家、自伝的著作が多く、『郷愁』四巻も彼の敬虔主義的信仰生活を書いたもの。(訳者注)