蜀犬 日に吠ゆ

1919-11-09

[][]十一月九日 「文通する人」としてのキリストなど、想像できるだろうか はてなブックマーク - 十一月九日 「文通する人」としてのキリストなど、想像できるだろうか - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 あなたは、「文通する人」としてのキリストなど、想像できるだろうか。

 およそ信仰上の事柄について「手紙を書く」ことはできない。だれを相手にしても、できない。ぜひとも必要とあれば、その時その時の重要なことについて書くがよい。しかし宗教的対話のための説教(ホミリエ)などは書かぬがよろしい。それは結局、骨折り損で、いろいろの誤解や、それとも虚栄の種となるにすぎない。最近しばしば、往復書簡が最後になって出版されたりするが、これは、とくに発信者の諒解のもとに公表される場合には、全く例外なく虚栄心である。だから、いずれにしても、つとめて読むだけの価値のないものである。宗教的な事柄についてのほんとうの文通は、つねにその双方の性格に有害なものである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫