蜀犬 日に吠ゆ

1919-11-16

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 サムエル記上七の一二。

 「エベネゼル(助けの石)。主は、今にいたるまでわれわれを助けられた。」

 これは、これからもう努力をやめて休み、たのしくしたい、というだけの意味ではなくて、だから主はこのあともひきつづき助けて下さるだろうというのである。

 まことのキリスト者の生活内容は、結局、まちがいなく継続する(時には内的、時には外的の)勝利でなければならない。しかし、一生の最後の瞬間を閉じるまで、決定的な勝利、いいかえれば、その後に平和条約が結ばれるような勝利は、決してない。われわれの地上の敵である悪を相手にしては、おおよそそのような勝利は存在しないのだ。ただ個々の人間の生活にとって、その生涯の終わりに、最後の勝利がありうるだけである。その前には、あくまでも悪との戦い、子々孫々までもつづく戦いがあるだけであっって、決して平和はない。これは小さなことがらではなくて、要は、困難な、しかもたえず新たにすべき決意である。すなわち、困難というのは、われわれが出会う敵の強い抵抗のゆえであるが、また、えてしてわれわれが敵である悪に心をひかれたり、一つの戦いが終ると不適当な休息をほしがるわれわれの弱さのゆえでもある。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫