蜀犬 日に吠ゆ

1919-12-12

[][]十二月十二日 いわゆる「小」預言者たちの言葉 はてなブックマーク - 十二月十二日 いわゆる「小」預言者たちの言葉 - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 ミカ書七の八・九、ナホム書一の一二、アモス書三の七、四の一二、五の二三、八の一一―一四、ヨエル書三の五、マラキ書二の一七、三の一八。これらは、いわゆる「小」預言者たちの言葉であって、われわれの時代にもふたたびあてはまるものである。それは、すでに人間の本性が昔も今も似ている意味からいっても、そうである。つまり、われわれの知っている歴史的知識がはじまって以来、人間の本性はあまり変化していないし、とくに今日、われわれの自然科学の知識や業績が進歩したにもかかわらず(というよりも、多分そのために)、人間の本性は大して高貴にはなっていないのだ。しかし、なおまた部分的にみても、この両時代(小預言者の時代と現代)の類似のために、実利政策をとる強大国(これらの国は多くの人たちを自分たちの考え方に誘いこもうとする)に対立する理想主義的な精神に生きる小民族にとって、上記の小預言者の言葉はとくによくあてはまる。それらの強大国は、その力にもかかわらず、跡形もなく滅びてしまったのに、小さなイスラエルのこれらの預言者の警告は、現代にいたるまで、なお生きてはたらいているのである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫