蜀犬 日に吠ゆ

1919-12-15

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 めぐまれた境遇の人でも、ひどく年をとると、生活の単調さがついにはあまりにも大きくなって、力づよい宗教的楽天感がなければ、どうしてそれに耐えられるか、わたしにはわからない。これ以外の楽天感は、ものごとをありのままに見ることをあきらめるか、それとも、その性質上きわめて一時的な、元来若い時期にふさわしい享楽を、たえずくり返すことによって、無理に持続しようとするか、それでなければ、結局ただ追憶のうちにのみ生きるかしなければならない。

 しかし、すべてのものの生活の基調は、伝道の書にのべられているような、また、神の近くにあることに基づかぬすべての哲学的人生観にひそんでいるような、ペシミズムである。

 「一切は空である*1」、そして、多く学んでも、結局「からだが疲れる」だけであって、いままで知らなかったような新しいものへ導くことは決してない。ただ、神との力強い交わりのみが、汲めどもつきぬ生命(いのち)をもっているのである。

 伝道の書一二の一・七・八・九・一二*2・一四。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:伝道の書一の二、「伝道者は言う、空の空、空の空、一切は空である。日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。」」

*2:伝道の書一二の一二、「わが子よ、これら以外の事にも心を用いよ。多くの書を作れば際限がない。多く学べばからだが疲れる。」