蜀犬 日に吠ゆ

1919-12-18

[][]十二月十八日 言葉のよい意味で気軽に暮すように はてなブックマーク - 十二月十八日 言葉のよい意味で気軽に暮すように - 蜀犬 日に吠ゆ

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

十二月十八日

 あなたは――ことに年をとってきたら――言葉のよい意味で気軽に暮すようにこころがけるがよい。一日じゅう朝から晩まで、あなたの周囲からあなたに対して実にたくさんの要求とか所望とかがもち出される。あなたはそれを、親しげな微笑と「イエス」をもって答えることもできるし、また同様に、多かれ少なかれ無愛想な「ノー」をもって答えることもできる。どちらの答えをするかは、結局のところ、あなたにとっては、たいていまったく同じである場合が多く、それはただの習慣にすぎない。けれどもあのような微笑とイエスをもって答える習慣の方が、もっと大きな、しかし当然よりまれなかずかずの善行などよりも、あなたの家族や、そのほかあなたと交わるすべての人びとにとっては、かえって感謝すべきものである。

 人生の特性を決定するのは、日常の小さな事柄であって、偉大な行動ではない。もともと偉大な行いなどというものは、大多数の人たちにとっては、ごくまれな事柄に属している。

 「不機嫌」は、もしまだそれがあなたにこびりついているのなら、すっかりきれいに脱ぎすてねばならない欠点である。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫