蜀犬 日に吠ゆ

1919-12-21

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眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

眠られぬ夜のために〈第2部〉 (岩波文庫)

 人間はときおり、自分にできること以上に、あまりにも多くのことをしようとし、しかもそれにたいして多くの感謝をも求めたがる。エレミヤ書のなかのよい言葉(一七の五*1)がそれを禁じている。ひとは自分にできることをしなければならないが、次には、他人の感謝をあきらめることができなくてはならぬ。でなければ、そういう行いも一種の享楽欲であろう。人間は、相手が称賛を求めていると気づくやいなや、それをあたえたくなくなり、かえって、そのような讃美に無関心な他の人に対しては、それを山のように与えたがるものである。

 自分がよくなしうる以上のことをしようとせず、また、このような仕事のなかに自分の幸福を求め、かつ、見出す人こそ、最も立派に世を渡るものである。

ヒルティ著 草間平作・大和邦太郎訳『眠られぬ夜のために』第二部 岩波文庫

*1:「主はこう言われる、『おおよそ人を頼みとし肉なるものを自分の腕とし、その心が主を離れている人は、のろわれる』。」