蜀犬 日に吠ゆ

2008-07-06

[][][]傷つきやすくて小心で~~高島俊男『天下之記者』文春新書 21:50 はてなブックマーク - 傷つきやすくて小心で~~高島俊男『天下之記者』文春新書 - 蜀犬 日に吠ゆ

副題「「奇人」山田一郎とその時代」

 東京開成学校を卒業した当代随一の俊才で、早稲田の草創期からかかわり、晩年には落魄して病死した山田一郎の伝記。「漱石の夏やすみ」につづく高島先生の明治知的エリート四方山話。

 

「奇人」山田一郎とその時代 天下之記者 (文春新書)

「奇人」山田一郎とその時代 天下之記者 (文春新書)

 東京大学が東京大学になるまでには、紆余曲折がありました。遡上すれば江戸幕府の「蕃書調所」にはじまる洋学最高研究機関の系譜を知らずして、明治知識人の有様を知ることは困難なのですが、当然東京専門学校やら慶応義塾のことだって同じです。誰かまとめてくださらないのでしょうかねえ*1。(当然、高島先生にまとめてもらいたいという期待が含まれています。)

 とりあえず、東大の前身「開成学校」で仲よしだった連中が小野梓のよしみを通じて立憲改進党に参加し、早稲田大学創立に関わるのですが、中の一人山田一郎は政治の術数についていけずに裏切りを許せず政治から身を引き、学校を去り、さりとて友人の庇護のもとで生きるにも堪えられずに地方紙の寄稿で日を送り、病死するという顛末。

 高島先生相変わらず面白いですなあ。もとは1996~1997年に文芸春秋社の「ノーサイド」「文學界」連載だということですので、新作に期待。

*1:東京大学に限っても昭和初年の『東京帝国大学五十年史』と五十年の『東京大学百年史』ですでに観点の相違が大きいらしいです。上掲書第三章「東京大学前史」参照