蜀犬 日に吠ゆ

2008-11-05

[]f--kメタ文学~~酒見賢一『ピュタゴラスの旅』集英社文庫 21:30 はてなブックマーク - f--kメタ文学~~酒見賢一『ピュタゴラスの旅』集英社文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 物語を語るのは、物語だと解説にありますが、むしろ物語を語りえる物語に対する物語ではないかと思います。

ピュタゴラスの旅 (集英社文庫)

ピュタゴラスの旅 (集英社文庫)

そしてすべて目に見えないもの

 都会で起きた殺人事件。警察は犯人を見つけることができるか、作者はそれを書き綴ることができるか。物語に作者登場するメタ文学の文脈を超えてみせるメタメタ文学。


ピュタゴラスの旅

 ピュタゴラスが旅を続けて手にしたものは、旅を続けるという意志でした。旅の果てに旅立ちがあります。それは命の輪廻にも似ています。


籤引き

 ヨーロッパとは異なる世界観に生きる村。その(西洋人から見て)独特の世界観がくずれるとき、世界もまたくずれてゆく。


虐待者たち

 現実世界と虚構を往き来する男。数々の場面で「これは現実よりか?虚構よりか?」と苦悩しつつも、復讐を遂げなければなりません。現実世界なら、正義のためであっても人殺しなど許されません。しかし、彼の周りがファンタジーなら?あるいは許されるかもしれないではないでしょうか。


エピクテトス

 奴隷で、(主人の趣味による)拷問によって片×輪にされたエピクテトス。ストア派に目ざめ、奴隷のままで哲学者となっていきます。暴力と、それに準ずる権力は肉体を支配できるかのように錯覚しますが、精神を縛ることはできません。精神はあまりに自由。であるならば、精神と肉体が一致するためには、肉体が奴隷であるなら精神も奴隷であり、精神が哲学者であるならば肉体も哲学で構成される必要があるのではないでしょうか。