蜀犬 日に吠ゆ

2009-01-08

[][]そういうものだ~~カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫 17:24 はてなブックマーク - そういうものだ~~カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 そういうものだよねぇ~~。

 ちうか、上記『タイタンの妖女』のラパー裏見返し(著者の写真の載ってるとこ)をみたら、


  • タイタンの妖女
  • スローターハウス5
  • 猫のゆりかご
  • ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを
  • ガラパゴスの箱舟
  • デッドアイ・ディック
  • プレイヤー・ピアノ

 となっていたので、てっきりこれが発表順だと思っていたのですが、全然違ったのですね。

順番からいえばプレイヤーズ・ピアノが最初で、「母なる夜」「猫のゆりかご」「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」と来るべきとだったのです。

 しかし、勘違いのまま『屠殺場5号』(これが旧題、早川書房ハードカバー)を読んでしまいました。


 内扉から、ヴォネガット先生、飛ばしています。

スローターハウス5

または 

子供十字軍

死と義務的ダンス

カート・ヴォネガット・ジュニア


ドイツ系アメリカ人四世であり

いまケープ・コッドにおいて

(タバコの吸いすぎを気にしつつも)

安逸な生活をいとなむこの者

遠いむかし

武装を解かれたアメリカ軍歩兵隊斥候

すなわち捕虜として

ドイツ国はドレスデン市

「エルベ河畔のフローレンス」の

焼夷弾爆撃を体験し

生きながらえて、この物語をかたる。

これは

空飛ぶ円盤の故郷

トラルファマドール星に伝わる

電報文的分裂症的

物語形式を模して綴られた

小説である。

ピース

カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫

 ドレスデン大爆撃を生きぬいたビリー・ピルグリムの物語。


 モンタナのロケット。

God grant me the serenity

to accept the things I

cannot change, courage

to change the things

I can, and wisdom

always to tell the

difference

(神よ願わくばわたしに変えることのできない物事を受け

いれる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇

気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ)

カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫

 オバマさんの悪口ではないですよ。


 ビリー・ピルグリムが変えることのできないもののなかには、過去と、現在と、そして未来がある。

カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫

 しかし、これを「世界観」という観点から見るとバラモン教の「輪廻転生」でこうした議論はなされているわけで、ヨーロッパも二六〇〇年遅れでようやくここまで来たかという感じがしないでもないですね。仏教はもう、その先をいってますよ。

 ただ、タイタンとスロータでヴォネガットがいうのは仏教の語り残した部分なのかもしれません。モンタナのロケットの上掲の言葉は、人類の生きる意味そのものへの疑念でしょう。


 ビリー・ピルグリムはなじる。「もしみなさんがこれに抗議されるのなら、死がつらい悲しいものだと考えておられるのなら、わたしのいったことは一言もみなさんには通じていない」そして講演のしめくくりは、どの講演もそうであるように――つぎのような言葉、「さようなら、こんにちは、さようなら、こんにちは」

カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳『スローターハウス5』ハヤカワ文庫

 というわけで、さようなら、こんにちは、さようなら、こんにちは。