蜀犬 日に吠ゆ

2009-02-04

[][][]エヌ氏とエフ氏と江戸時代~~星新一『城のなかの人』角川文庫 23:29 はてなブックマーク - エヌ氏とエフ氏と江戸時代~~星新一『城のなかの人』角川文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 星新一は新潮文庫ばかりで読んだので、実はまだ未読のものがたくさんあります。それは余生の楽しみといってもいいかも。(それにつけてもエッセイ復刊はないものか。)

城のなかの人 (角川文庫)

城のなかの人 (角川文庫)

城のなかの人

 主人公は大阪城。そのなかには、「はたじるし」が住んでいます。城が燃えたとき、旗印もまた燃える運命。クライマックスで秀頼が「話に聞く太閤の人生を、逆にたどらされてきた」という自己認識にいたるという筆力には恐れ入りました。


春風のあげく

 わが子を思う気持ちというのは、歪んだ利己心でしかない。よいところばかりを見て希望を抱くのも、悪いところばかり見て悲観するのも、自己愛ゆえ。


正雪と弟子

 由井正雪が「エヌ氏」というか凡人であるという設定の正雪の乱。その嫡流とよべる弟子の武左衛門は、師匠の遺産を受け継いで立身をめざす、のか、そうではないのか、歴史の幻のなかへと消えてゆく。


すずしい夏

 飢饉の描写が淡々とつづくだけの悲惨話、というむしろ星新一らしいといえばらしい話。サゲは見事なまでの「ドンデン」。

 無為無策のなかで不景気ばかりが広がってゆく昨今の状況とあわせてみると趣深い。


はんぱもの維新

 とぼけた調子で小栗上野介伝をするように見せかけてその中間(?)である五助の話。とりあえず小栗上野介が一番の知者であるという視点で幕末をコケにします。