蜀犬 日に吠ゆ

2009-03-22

[][][][]学而第一(その3)。 23:51 はてなブックマーク - 学而第一(その3)。 - 蜀犬 日に吠ゆ

事を敬(つつし)みて信あり

 学而第一(1~16)

5 子曰。道千乗之国。敬事而信。節用而愛人。使民以時。

(訓)子曰く、千乗の国を道(おさ)むるには、事を敬(つつし)みて信あり、用を節して人を愛し、民を使うに時を以てす。

(新)子曰く、諸侯の国を治めるには、できるだけ事業をひかえめにして公約を守り、経費を節約して租税を安くし、人民を力役に使うには農事を避けるのが大切だ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 天下は「万乗」、天子に封じられた諸侯の国は「千乗」となります。孔子の教えは基本的に支配者の学ぶべき帝王学でありまして、前にも出ました「斉家治国」、すなわち自らの一族をしっかり団結させるだけの人物が国を治める段階に進むことができます。つまり、ある程度「君子」としての能力が備わった人への言葉。「道」は「導」と意味を通じて、指導するくらいの意味でしょうか。

 孔子の弟子たちというのは、孔子が流浪の旅に出たときにくっついてまわるわけでして、GratefulDead に対するDeadHeads のような、うだつの上がらない若者たちです。そんな子たちに「君たちが千乗の国を治めるときには…」などというのはちょっと不自然な気もします。お偉いさんの使者か何かがご意見うかがいにやって来たときにこういう言葉を伝えたとは考えられませんかね。弟子たちは、列席して神妙にそれを聞き、あとで記録にとどめておくわけです。

 中国でいう「愛人」は日本の「恋人」なので、中国の友達から「この女性は我の愛人で」と紹介されても驚いたり本妻を心配したりしないでいいよ、というのはわたしが中国語を学んだころの定番の笑い話でした。『論語』における愛人は「租税を安くし」? 下々の人を思いやるという意味でしょうか。