2009-03-25
■ [書留][仏教][サキャ]賢者について(その5) 
Ⅰ章 賢者についての考察
智恵ある者は騙されても
すべきことを見失わない。
蟻は目がなくても
目がある者よりすばやい。
今枝由郎訳『サキャ格言集』岩波文庫
自分のなすべきことがしっかり分かっていれば騙されない、ということでしょうかね。蟻の譬えは。
Ⅰ章 賢者についての考察
15
智恵のある者二人が合議すれば
もっといい智恵が浮かんでくる。
鬱金(うこん)と硼砂(ほうしゃ)を混ぜれば
別の色が生じる。
今枝由郎訳『サキャ格言集』岩波文庫
誰でも「三人寄れば」などといってしまう日本のことわざよりも、こちらの方が現実に即していると思います。愚者というのは、他人と話し合うことさえできない連中ですから。相手が賢者であれば会話を成立させるくらいのことにはなるのでしょうけれども、合議だなんて無理でしょうねえ。しかしこの場合の賢者とは、「つねに真理を探究する者」であり、「答えを知っているようにふるまう者」ではないので注意。(格言1、10を参照)
Ⅰ章 賢者についての考察
16
福徳を積んだ賢者は
一人でも誰にも勝る。
百獣の王ライオンや
転輪王*1には助けはいらない。
今枝由郎訳『サキャ格言集』岩波文庫
*1:16 転輪王 古代インドの思想的統治者。即位の時、天から宝の輪を感得し、これを転がして四方を征服するといわれる。
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