蜀犬 日に吠ゆ

2009-04-26

[][][][]八佾第三を読む(その11) 20:57 はてなブックマーク - 八佾第三を読む(その11) - 蜀犬 日に吠ゆ


郁郁として文なる哉

 八佾第三(41~66)

53 子曰。周監於二代。郁郁乎文哉。吾従周。

(訓)子曰く、周は二代に監みて、郁郁として文なる哉。吾は周に従わん。

(新)子曰く、周の制度は、夏、殷二代の伝統を受けついだ上に、郁々として文化的だ。私は周を最上と思う。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 こういう「オノマトペ」っつーんですか、擬音で表現されても、2500年後の私には全然伝わってきません。「郁郁なんだよなぁ…」って、孔子先生がおっしゃっても、こっちは「イクイク」→「ヴェルサイユ条約」ですから、あの、マンサールが設計し、ル=ブランが意匠を凝らしたバロックの精髄の……確かに文化的かも。


 冗談はさておき、各先生方の解釈を見ておきます。

「周(の文化)は、夏と殷との二代を参考にして、いかにもはなやかに立派だね。」

金谷治『論語』岩波文庫

周は夏と殷との二代の礼楽制度を視(み)てこれを増減した。これによって文(かざり)と質(きじ)とが適度になって誠に盛んなる美観を呈した。

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

周はその前の夏・殷王朝二代に比べると、華やかに発展している。

加地伸行『論語』講談社学術文庫

 加地先生だけ夏・殷の伝統を引き継いだという解釈を排していますね。宇野先生は増減ですから中庸をとっているようです。これは十世知るべきで、王朝は前の王朝を受け継ぐときに損益があるという話とつながるのでしょう。