蜀犬 日に吠ゆ

2009-05-13

[][][][]里仁第四を読む(その2) 22:01 はてなブックマーク - 里仁第四を読む(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

不仁者は以て久しく約に処るべからず

 里仁第四(67~92)

68 子曰。不仁者。不可以久処約。不可以長処楽。仁者安仁。知者利仁。

(訓)子曰く、不仁者は以て久しく約に処(お)るべからず、以て長く楽しみに処るべからず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。

(新)子曰く、慾ばりの不仁者は長く倹約な生活を我慢することができないし、ずうっと平和な生活を続けることもできない。最高の仁者とは仁の境地に達し安心している者のことを言い、次に位する知者とは仁の長所を知ってそれに追求したいと工夫する者のことを言う。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 知者を儒者の次の位に置くのは宮崎市定先生の特徴。この仁者と知者の対比はたびたび出てきます。


 宇野哲人先生の『論語新釈』のほうが解釈が細かいです、曰く

[通釈]不仁者は本心の徳を失っているから、久しく貧賤の境遇にいると飢寒に逼(せ)まられて邪悪に陥るものである。故に「久しく約に処るべからず」というのである。また長く富貴(ふき)の境遇にいると覚え知らず驕奢に流れるものである。故に「久しく楽に処るべからず」というのである。ただ仁者はいかなる境遇においても本心の仁徳を失わないし、知者は深く仁を好んでこれを得ようとしているから、久しく約に処ることも出来るし、長く楽に処ることも出来るのである。

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

 雍也第六の「知者は水、仁者は山」という解釈と通じさせればこうなるのでしょうねえ。


惟だ仁者のみ、能く人を好み

 里仁第四(67~92)

69 子曰。惟仁者。能好人。能悪人。

(訓)子曰く、惟だ、仁者のみ、能(よ)く人を好み、能く人を悪(にく)む。

(新)子曰く、好むべき人を好み、悪むべき人を悪むことができたなら、それは最高の人格者と言える。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 駄目人間に肩入れする事はないのです。儒教は非情。


苟くも仁に志さば、悪むなきなり。

 里仁第四(67~92)

70 子曰。苟志於仁矣。無悪也。

(訓)子曰く、苟も仁に志さば、悪むなきなり。

(新)子曰く、いったん修養しようと決心した以上、人を毛嫌いしてはならぬ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 普通は、「仁者は悪いことをしない!」と解釈しますが、さすが宮崎市定先生。前章と完全に矛盾していますが、そこがいい。