蜀犬 日に吠ゆ

2009-05-22

[][][][]里仁第四を読む(その10) 23:25 はてなブックマーク - 里仁第四を読む(その10) - 蜀犬 日に吠ゆ

君子は義に喩り

 里仁第四(67~92)

82 子曰。君子喩於義。小人喩於利。

(訓)子曰く、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。

(新)子曰く、諸君は正義に敏感であってほしい。利益には鈍感な方がよい。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 加地先生の解釈は、ちょっとおもしろい。

 老先生の教え。教養人は道理を理解し、知識人は損得を理解する。

加地伸行『論語』講談社学術文庫

 加地先生の特色は「小人」を「知によって動く人」とするところにあり、損得を理解できるのだから単なる駄目人間ではないだろうとするところです。多分そのことにいままで触れたことはなかったと思いますのでここに書いておきます。


 まあそれは擱くとして、この章は教育論でもあると思うのです。すなわち、天下国家を担う人材に対しては「義」を中心とした価値観で物事をおしえ、そうでない人たちには損得で説明したほうが伝わるよ、という話。「この資格は、もっておいて損はないよ」とか、そういうたぐいの話。


 私の考えとしては、結局君子も損得勘定で動いているといってもいいのではないかと思うのです。ただそれが、この世の生きとし生けるものの、過去現在未来の無限の「得」を求めているので、偏差値の低い人には損得勘定であることが認識できないだけで。逆に小人だって、いまこのときこの瞬間のおれの快楽が正義なんだ! と確信している可能性は高い。「義」と「利」は分けることが難しい概念化もしれませんが、それをどういう風に実現しようとするかによって、「君子」と「小人」は峻別されてしまいます。

 机上の空論ではなくて社会の安定と反映のために行動することの大切さを説くのが、儒教の特徴。