蜀犬 日に吠ゆ

2009-05-31

[][][][]公冶長第五を読む(その1) 21:32 はてなブックマーク - 公冶長第五を読む(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

公冶長を謂う

 公冶長第五(93~119)

93 子謂公冶長。可妻也。雖在縲絏之中。非其罪也。以其子妻之。子謂南容。邦有道不廃。邦無道免於刑戮。以其兄之子妻之。

(訓)子、公冶長を謂う。妻(め)あわすべきなり。縲絏の中に在りと雖も其の罪に非ざるなり、と。其の子を以て之に妻あわす。子、南容を謂う。邦に道あれば廃せられず、邦に道なきも、刑戮より免かる、と。其の兄の子を以て之に妻あわせたり。

(新)孔子が公冶長について言った。彼は婿にしていい人間だ。いま未決監に収容されているが、無実の罪で嫌疑を受けただけだ、と。自分の娘と結婚させた。孔子がまた南容について言った。世の中が治まっている時には重く用いられ、世の中が乱れた時でも、刑罰にひっかからない人物だ、と。自分の兄の娘と結婚させた。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 公冶長といえば、鳥と語ることで有名。加地先生の所から引きます。

注(1)公冶長は、孔子の弟子で、鳥の言葉を理解できたとして、次のような伝説がある(『留青日札』)。貧しくて食べるものがなかったとき、雀が公冶長にこう話しかけた。南山に虎が羊を運んでいるぞ。お前は肉を、俺は腸(はらわた)を食おう。早く行けと。そこで行ってみると、虎の食い残しであろう、本当に羊がいたので食べることができた。その関わりで、羊を亡(うし)なった家をたずねてたどりついたところ、羊の角があったので、偸(ぬす)んだ。これを訴えられて、魯君は公冶長を捕らえて獄舎に入れた。ところが、雀がまた来て、隣国の斉国が軍を出し沂水(きすい)まで来ているぞと公冶長に教えた。驚いた公冶長が獄吏にそれを告げた。これが魯君に伝わり、早速調べてみるとそのとおりであったので、魯軍が急襲して大勝した。そこで魯君は公冶長を釈放し、大夫の位を与えようとしたが公冶長は固辞したという。これは伝説に過ぎず、公冶長の罪が何であったか分からない。しかし、孔子が罪を否定しているところを見ると、冤罪であった可能性が高い。

加地伸行『論語』講談社現代新書

 怪力乱神を語らない孔子門下で、どうして公冶長だけが神秘の存在として伝えられたのでしょうね。


 で、本章ですが、これは、人物の評価をする前に縁談があったのではないかと思いますね。で、公冶長は逮捕歴があるのだからおよしなさいよ、と忠告する人があって、孔子が「彼は無実だよ」といって仲を取り持ったのではないでしょうか。南容の場合も同じように。

 南容の話は「先進第十一 南容三復白圭」の所でもまた出てきます。