蜀犬 日に吠ゆ

2009-06-04

[][][][]公冶長第五を読む(その4) 20:31 はてなブックマーク - 公冶長第五を読む(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

子、漆雕開をして仕えしめんとす

 公冶長第五(93~119)

97 子使漆雕開仕。対曰。吾斯之未能信。子説。

(訓)子、漆雕開をして仕えしめんとす。対(こた)えて曰く、吾れは斯れをこれ未だ信ずる能わず、と。子、説ぶ。

(新)孔子が漆雕開に仕官を勧めた。彼は辞退して、自分はまだ十分な自信がありません、と言った。珍しく孔子が悦に入った。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 語の解釈はいいとして、当然仕官を求め経世済民することを目的とする孔子塾としてこれでいいのかという疑問が浮かびますよね。謙譲の美徳は褒めるべきでしょうけれども、「(215)これを仰げば弥(いよ)いよ高く(子罕第九)」などと言っていてはいつまでたっても道は完成しないでしょう。下手をすると有能な人材を埋もれさせることになってしまうかもしれません。

 意地の悪い見方をし、高弟である漆雕開を貶めるようなことをあえていうなら、孔子が勧めた子看の口は、本当に漆雕開には手に余る、もしくは苦手な分野の担当である、あるいはその能力を十分に発揮できないような分掌であったのかもしれません。

 孔子が喜んだのは、謙譲の美徳ではなく、漆雕開が何でもいいから仕官を求めるのではなくて自分の能力や特性に照らし合わせて十分に力を発揮できるところを求める、志の高い人物であったからなのかもしれません。