蜀犬 日に吠ゆ

2009-06-24

[][]世紀末救世主のいない世紀末~~ポール・オースター 柴田元幸訳『最後の物たちの国で』白水Uブックス 19:26 はてなブックマーク - 世紀末救世主のいない世紀末~~ポール・オースター 柴田元幸訳『最後の物たちの国で』白水Uブックス - 蜀犬 日に吠ゆ

 いやあ、陰惨なはなしを延々読まされて閉口しました。

カヴァー裏

人々が住む場所を失い、食物を求めて街をさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外にそこから逃れるすべのない国。アンナが行方不明の兄を捜して乗りこんだのは、そんな悪夢のような国だった。極限状態における愛と死を描く二十世紀の寓話。

ポール・オースター 柴田元幸訳『最後の物たちの国で』白水Uブックス

 いずれはすべてが終わってしまっても不思議はありません。物はばらばらになって消えてなくなり、新しいものは何ひとつ作られません。人々は死んでいき、赤ん坊は生まれようとしません。ここへ来て何年にもなりますが、生まれたばかりの赤ん坊を見かけた覚えは一度もありません。それでもなお、新しい人々がつねに現れて、消えてしまった人々の穴を埋めるのです。田舎から、周囲の町や村から、全財産を積んだ荷車を引きずり、息も絶えだえのエンジン音を立てるポンコツ車を運転して、彼らはやって来ます。誰もが腹を空かせ、誰もが宿無しの身です。この街のやり口を呑み込むまで、こうした新参者は、絶好の餌食です。街に来て一日目が終わらぬうちに、持ち金全部をだまし取られてしまう人も少なくありません。

ポール・オースター 柴田元幸訳『最後の物たちの国で』白水Uブックス

 『北斗の拳』で不思議なところは、あんなに文明が崩壊しているように見えるにもかかわらず、自動車、オートバイ、機関銃などの工業生産や科学技術が維持されているところですが、現実世界でも大量の餓死者が発生する貧困国のテロリストがマシンガンを持っていたりすることは普通なので、実際にはそういうものなのでしょうね。愛をとりもどすのは至難の業といわざるべからず。


 もう一つ、『Hunter×Hunter』の「流星街」のことも思い出しました。流星街のモデルはおそらくフィリピンのスモーキーマウンテンだと思うのですが、流星街のみんなはどうしてあんなに仲良しなのでしょうか。「われわれから何も奪うな」という「われわれ」が成立するという意味では、流星街は以外と豊かであるのかもしれませんね。「幻影旅団」内だけで、生き残るために助け合うというのであれば話はわかるのですけれど、普通スラム化した街では生き残るために奪い合うのが普通で(「最後の物たち」はそういう話)、ごく小さなコミュニティがたくさん生まれ、そしてその中でも裏切りが日常茶飯事なのではないでしょうか。

 しかし、漫画でそのあたりが説明されることはないのでしょうね。悲しいことに。


 本書の話を忘れていました。このブログは自分用メモなのであらすじも書き出してしまいますが、

  1. アンナが街に入り、街の実情を知る 5-
  2. アンナとイザベルが出会う 55-
    1. 港で脱出は不可能であると知る
  3. 図書館でサムに出会う 112-
    1. デュジャルダンと人間屠殺場へゆく
  4. ウォーバンハウスでヴィクトリアと出会う 152
    1. ウォーバンハウスのスタッフになる
    2. ボリス・ステパノヴィッチと売買遠征する
    3. サムと再会する
    4. 祖父フリックが死に、孫ウィリーが死ぬ
    5. ウォーバンハウス閉鎖