蜀犬 日に吠ゆ

2009-07-20

閔子騫

[][][][]雍也第六を読む(その7) 15:28 はてなブックマーク - 雍也第六を読む(その7) - 蜀犬 日に吠ゆ

吾は必ず汶の上にあらん

 雍也第六(120~147)

126 季氏使閔子騫為費宰。閔子騫曰。善為我辞焉。如有復我者。則吾必在汶上矣。

(訓)季氏、閔子騫をして費の宰たらしめんとす。閔子騫曰く、善く我が為にこれを辞せ。如し我に復(ふた)たびする者(こと)あらば、吾は必ず汶(ぶん)の上(ほとり)にあらん。

(新)季氏が閔子騫を費の邑の代官に任命しようとした。閔子騫はその使いに向って言った。私に代って上手に辞退して下さい。もし貴方が同じ使いを二度つとめなさるならば、私はお会いせずに国境の汶水を渡っておりましょう。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 礼によれば登用されても三度は断るものです。劉備の「三顧の礼」は三回行ったというよりも本人が迎えに行ったというところがすばらしい。ので、普通に断ったら「ははあ、例のアレだな」と、礼のアレ扱いされて三度迎えが来て、それで断ったら閔子騫の方が心苦しくなってしまうので一発できっぱり拒否したのでしょう。

 断った理由としては、三桓氏の専横を無道であるとして避けたということです。子路の末路を見るに政争がかなり激しかったのでしょう。


 全然関係ないのですが、地口で「残念閔子騫」て言いますが、用例知らない。


伯牛疾あり

 雍也第六(120~147)

127 伯牛有疾。子問之。自牖執其手。曰。亡之。命矣夫。斯人也而有斯疾也。斯人也而有斯疾也。

(訓)伯牛、疾あり。子これを問い、牖(まど)より其の手を執る。曰く、之を亡(うしな)わん。命なるかな。斯の人にして斯の疾あり。斯の人にして斯の疾あらんとは。

(新)伯牛が重病にかかった。孔子が見舞いに行ったが、(伝染を虞(おもんぱか)って)窓から手をさしのべて堅く長い握手をしてかえった。曰く、もう駄目か。なんという運命だ。こんな立派な人がこんな病気とは。こんな立派な人がこんな病気にかかるとは。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 この短い文章は、前にも挙げましたが下村湖人『論語物語』で感動的な短編に仕上げられています。

 執は執念、執拗の執で、固く握って離さないこと。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 天命はいつも残酷。