蜀犬 日に吠ゆ

2009-08-03

[][][][]雍也第六を読む(その19) 15:16 はてなブックマーク - 雍也第六を読む(その19) - 蜀犬 日に吠ゆ

井に人あり

 雍也第六(120~147)

143 宰我問曰。仁者雖告之曰。井有仁焉。其従之也。子曰。何為其然也。君子可逝也。不可陥也。可欺也。不可罔也。

(訓)宰我、問うて曰く、仁者は之に告げて、井(せい)に人ありと曰うと雖も、其れこれに従わん。子曰く、何為(なんす)れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむべきなり。陥るべからざるなり。欺くべきなり。罔うべからざるなり。

(新)宰我が質問した。先生のおっしゃる最高の人格者、仁者という方はいま井戸に人が落ちていると言いさえすれば、すぐついてくる人ですね。子曰く、何もそんなきまりはない。仁者はさておき、一応の教養ある君子ならば、井戸の近くまではついて行くかもしれぬが、井戸の底へ落とすことはできぬ。うっかりかつがれることはあるかも知れぬが、完全に欺しおおせることはできぬ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 宰我が夫子に挑戦的な言い草。「仁者とか言いますが、悪人を甘やかしたり、むしろ悪人に利用されて相手を利するのが落ちではないですか。」しかしその発想も、議論の吹っかけ方も、たとえ話のセンスも、いかにも宰我といいますか、人間性の卑しさがにじみ出ていますね。「井戸の中に人がいるわけねーじゃん」とか返すと逆にバカにされてしまうので、注意です。宰我が、ヤマネのように無視するという可能性もあります。

 善意をもって人に接するけれども、自分を失うような事はしないのが君子の道。