蜀犬 日に吠ゆ

2009-09-01

[][][][]述而第七を読む(その18) 21:47 はてなブックマーク - 述而第七を読む(その18) - 蜀犬 日に吠ゆ

互郷は与に言い難し

 述而第七(148~184)

175 互郷難与言。童子見。門人惑。子曰。与其進也。不与其退也。唯何甚。人潔己以進。与其潔也。不保其往也。

(訓)互郷は与(とも)に言い難し。童子、見(まみ)えんとす。門人惑う。子曰く、其の進むことを与(ゆる)し、其の退くを与さざるならば、唯何ぞ甚しきや。人、己を潔(きよ)くして以て進まば、其の潔きを与さん。其の往(むかし)を保せざるなり。

(新)互郷という邑は人気の悪いことで有名で、誰からも相手にされなかった。その邑の少年が孔子に入門のため、面会を求めてきた。門人たちはその扱いに当惑した。子曰く、面会を認めたからには、何時までも門下に引きとめておかねばならぬものだというなら、それはあまりに取越苦労というものだ。たとえば、人が着物を着かえてやってきたなら、そのこざっぱりした点を認めてやらねばならぬのと同じだ。今まで何をやっていたか、その本質が何であるかを一々問いただすには及ばない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 互郷はどうして嫌われているのでしょうね。「難与言」の解釈にはいくつかあるようです。

――古注では「ひとりよがりで融通がきかないから。」といい、新注では「習俗がよくないから。」という。

金谷治『論語』岩波文庫

 童子が来てさえその出自から怪しまれているのですから、これは「習俗がよくない」どころか、顔回の陋巷をも上回るような、ものすごい所が想像されてしまいます。


 もちろん孔子は、相手を出自で判断したりはしません。その進取の気性を褒め、怠惰をけなすのみです。雍也第六力不足、述而第七束脩を行うなどを見れば、それは明らかです。