蜀犬 日に吠ゆ

2009-09-01

[][][][]陰謀、陰謀、また陰謀~~五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫(その1) 23:17 はてなブックマーク - 陰謀、陰謀、また陰謀~~五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

 上巻だけで700頁弱という分量もそうですが、頭のチューニングやつぎつぎ登場する人物たちがもう大混乱ですので、400頁程度読み進めた時点で一旦メモを確認。

柳生武芸帳 上 (文春文庫)

柳生武芸帳 上 (文春文庫)

チューニング

 別名、チャンネル合わせ。初っ端から、柳生の秘密が明かされます。

 陰流(カゲノナガレ)

(略)

 ところが浮月斎の暴露した柳生流の正体だが、

「他でもない、柳生は忍びの術が本体じゃ」

 と言うのだ。

(略)

 ――先ず柳生の出生である。柳生一族は代々大和国添上郡柳生ノ庄に住んで姓を「柳生」と名乗った。往古は春日神社の神職の出であった。しかるに柳生ノ庄は、甲賀と伊賀の両郡に挟まれた山間の地である。甲賀、伊賀には古くより忍びの術が発祥した。柳生ノ庄に育った若者が、日常に忍者の修行や術を見ぬわけがあろうか、見れば真似ぬ道理がない。

(略)

 即ち、柳生宗厳父子は忍び者だったのである。

五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫 11p-

 明快です。明らかに法螺ですが。そんなことが成り立つなら、世界共産革命ドミノ理論の如く、日本全国忍びになってしまいます。

 さらに、

 剰(あまつさ)え、自らの術策を飽迄武術の上の明察と世間に見せ、以て柳生流を狂信せしめた。何という謀略。――だが、忍術を秘し、兵法者と見せかけること、コレまことの変幻の術である。次に、陰流の呼称について浮月斎は説く。何故『陰の流れ』と謂うか? 世に陰流は愛洲移香(あいずいこう)に興り、上泉信綱この刀術に工夫をこらして新たに新陰流を称えたという。(略)元は即ち悉く忍者の術から出た名である。『陰流』とは忍術の別称である。

五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫 13p

 陰にひそむから忍者である。明快すぎてクラクラきます。ここでまだ16頁前後。

 とりあえずここまでで、史実は無視の様子。だいぶフィクションの方向に針を合わせなければならないことがわかります。


 18頁で現在の話が終わり、19頁「夕姫」から12年前の因縁が語られる事になります。ちなみに400頁現在、まだ12年前のエピソードが続いております。


 そこで、女忍者と武芸者が渡り合います。

 こたえるかわりに女の右手(めて)が胸の前で上下した。

「危い」

 男は身を潜めて横っ飛びに道を踊り越える。手裏剣には加速度が伴わねばならぬ。そうでなくては深手を与え得ない。だから第二の小柄を防ぐには、身を近づけるに限るのだ。男は機敏に女の手許へ駈け寄った。

五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫 21p

 意味不明ですが、遠距離だと手裏剣に加速度が伴う? 投擲されてから加速するという意味?

 うーむ、ニュートン力学の無い世界ですか。どんな忍術が飛び出すやら。

 136頁あたりでは、竹筒で水の中に潜んだ忍者が水圧で(気圧で?)窒息死したりしますが、その説明もよくわかりません。


登場人物

 とりあえず、いま読んだところまででのメモ。アルファベットは戦闘力。剣士と忍者で区別しようかと思いましたが、忍者は全員剣士としても一流なので同一基準とします。

 所属ごとに。

  • 山田浮月斎軍団
    • 統率者 山田浮月斎(新陰流)(S)
    • 目的 柳生武芸帳を奪い、柳生の陰謀を曝く
      • 霞千四郎(新陰流)(S) 霞の忍者 多三郎の双子の弟
      • 霞多三郎(新陰流)(S) 霞の忍者 千四郎の双子の兄
      • 井元庸之介
      • 秋葉佳介
      • 印南勘十郎(B)
    • 外交
      • 友好 大久保彦左衛門
      • 敵対 柳生但馬軍団

  • 柳生但馬軍団
    • 統率者 柳生宗矩(柳生新陰流)(S)
    • 目的 武芸帳をそろえる
      • 柳生十兵衛(柳生新陰流)(S)
      • 柳生友矩(柳生新陰流)(A)
      • 柳生又十郎(柳生新陰流)(B) くの一(女装忍者)
      • 柳生
      • 誠玄(A)
      • りか(E) 誠玄の娘
    • 外交
      • 敵対 山田府月斎軍団
    • 武芸帳 一巻(偽筆?)

  • 竜造寺夕姫軍団
    • 統率者 竜造寺夕姫(A) 女忍者
    • 目的 竜造寺家の再興
      • 竜造寺伯庵(D) 江戸で幕府に嘆願
      • 賀源太(A) 忍者
    • 外交
      • 敵対 鍋島藩

  • 小城鍋島軍団
    • 統率者 鍋島元茂(柳生新陰流)(S) 
    • 目的 ?
    • 兵 ?
    • 外交 ?

  • 藪左中将軍団
    • 統率者 ?
    • 目的 武芸帳の保護
      • 神矢悠之丞(新陰流)(S)
    • 外交
      • 友好 大久保彦左衛門
    • 武芸帳 らしき絵巻→半分を山田、もう一方を大久保が取る

  • 大久保彦左衛門軍団
    • 統率者 大久保彦左衛門(B)
    • 目的 幕府の安定
      • 食客300人(B~D)
    • 外交
      • 友好 山田府月斎軍団 藪左中将軍団
      • 敵対 柳生但馬軍団 松平伊豆軍団

  • 春日局軍団
    • 統率者 春日局(D)
    • 目的 家光の世嗣誕生
    • 外交
      • 敵対 大久保彦左衛門軍団

  • 薩摩軍団?
    • 統率者 薬丸武兵衛(示現流薬丸派)(B)
    • 目的 ?
    • 外交
      • なし

  • 松平伊豆軍団
    • 統率者 松平伊豆
    • 目的 ?
      • 阿部隼人正(東軍流)(A)
    • 外交
      • 敵対 柳生但馬軍団 大久保彦左衛門軍団

  • 会津松平軍団
    • 統率者 ?
    • 目的 ?
      • 小野源内(柳生新陰流)(A)
    • 外交
      • 敵対 山田府月斎軍団

 そして一匹狼的、所属不明の人たちもいて、もう何が何やら。