蜀犬 日に吠ゆ

2009-09-13

[][][][]五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫(その3) 19:21 はてなブックマーク - 五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫(その3) - 蜀犬 日に吠ゆ

 いまも考えていますが、誠玄の死んだ理由がわかりません。文系だからなのか。

柳生武芸帳 上 (文春文庫)

柳生武芸帳 上 (文春文庫)

 いつの間にか、走る誠玄の手には一間余の竹竿が握られており、誠玄はこれを利用して隅田川へ躍り込んだのである。

 竿は節が抜かれ、空洞になっていたから誠玄は水中に潜っても息をすることが出来たわけだ。

 ところが多三郎は、誠玄が水中に躍り込むと、

 「たわけ!」

 と叫んで此の時すでに勝利の叫びをあげている。多三郎は誠玄のあとから川に跳び込んだが、これは泳ぎながら、水面に出た竹竿の先を見逃さぬように、その尖端ばかりを見詰めて泳いだ。尖端が傾きかけると泳ぎ寄ってあわてて立てかけてやった。竿は水面上に一尺ばかり突き出ていた。

 ――そうして、誠玄は溺死したのである。

 理由は大へん簡単で、窒息死である。

 即ち竿が役立たなかった。

 水中に一間余の水深に潜ると、竿を利して呼吸しようとしても水圧のため、呼吸が出来ない。空気は水の表面の空気と水中の竿の空気では気圧が違うためである。決して空気は潜水者が想像するようには通って来ないのである。

 誠玄がこういう単純なことを知らなかったのは不思議に思えるが、兎も角、この隅田川で彼は死んだ。呼吸が出来ねば浮かび上って泳げばいいのに、それが出来なかったのは水上の多三郎に何かの用意があったからだろう。

五味康祐『柳生武芸帳』上 文春文庫

 結局水圧の所為なのか気圧が原因なのか、ここからではわかりません。


 すでにシュノーケルがあり、一方で海女さんなどが命がけで素潜りをするのですから、浅いところであれば竹竿でも呼吸できそうですが、深さがますにつれローテクでは間に合わなくなるであろうことは予測がつくのですが、じゃあ一間(1.8メートル)では本当に呼吸できないのかがわかりません。

 素人考えでは、水のそこのほうが気圧が高くなるのではないかと思うので、竹竿から吸気して、外へ呼気すればいいような気もするのですよね。そういう修行もなしに、いきなり潜る忍びもいないでしょうし。どうもこの部分は、よくわかりません。