2009-11-30
■ [筆記][伝奇][田中芳樹]伝奇のセオリー~~田中芳樹『とっぴんぱらりのぷう』光文社(その2) 
纐纈城奇譚の悪口を書かねばならない宿業を背負っているので、外堀を埋めます。うっかり消さないようにしたいものです。

- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2009-11-29
■ [書留][儒教][先進第十一][宮崎市定]先進第十一を読む(その2) 
陳蔡に従いし者
先進第十一(254~278)
255 子曰。従我於陳蔡者。皆不及門也。徳行。顔淵。閔子騫。冉伯牛。仲弓。言語。宰我。子貢。政事。冉有。季路。文学。子游。子夏。
(訓)子曰く、我に陳蔡に従いし者は、皆門に及ばざりき。徳行には顔淵、閔子騫、冉伯牛、仲弓。言語には宰我、子貢。政事には冉有、季路。文学には子游、子夏ありき。
(新)子曰く、陳蔡の間で難にあった時、弟子たちは誰ひとり、城門で追いついた者がなかった。徳行には顔淵。冉伯牛、仲弓。外交の応対には宰我、子貢。政治には冉有、季路。文学には子游、子夏があった。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-28
■ [筆記][芸能]猴『モンキー ジャーニー・トゥ・ザ・ウェスト~西遊記~』ワーナーミュージック 
ジャンプで超リスペクトされている「水滸伝」のブームがなかなか来ないなあ、と思っていたら、世間的には2007年「西遊記」ブームだったようで、また乗り遅れてしまいました。

- アーティスト: モンキー
- 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
- 発売日: 2008/10/22
- メディア: CD
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■ [筆記][芸能]Rject False Icons~~Gorillaz『D-Sides ~コング・スタジオの秘密~』EMI 
ゴリラズのレア・トラック+リミックス集。こういうのを買い始めると駄目になるので、ちょっと距離をおきたいものです。

- アーティスト: ゴリラズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/12/19
- メディア: CD
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2009-11-27
2009-11-25
■ [筆記][伝奇]河田清史『ラーマーヤナ』上 レグルス文庫 第三文明社(その3) 

ラーマーヤナ―インド古典物語 (上) (レグルス文庫 (1))
- 作者: 河田清史
- 出版社/メーカー: 第三文明社
- 発売日: 1971/06/05
- メディア: 新書
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2009-11-24
■ [筆記][漫画]巡る因果~~高橋葉介『もののけ草子』12 ぶんか社 
そしてこちらはスピンオフ。「怪奇篇」逢魔篇に登場した妖怪「手の目」が主人公となる物語。

- 作者: 高橋葉介
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2008/09/20
- メディア: コミック
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- 作者: 高橋葉介
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2009/08/22
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2009-11-23
■ [筆記][漫画]セルフリメイク~~高橋葉介『夢幻紳士』回帰編 早川書房 
というのであればこのシリーズはすべてそうではないでしょうか。わたしの基準ですと夢幻紳士って夢幻魔実也「少年探偵Bバージョン」(キャプテン版、ドタバタコメディのやつ)のイメージなので。

- 作者: 高橋葉介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/10/23
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■ [筆記][漫画]炎のまんが道~~焔燃『アオイホノオ』12 小学館 
島本先生のまんが道を読む。福満先生の「僕小」とお別れする準備ともいえましょう。

- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/02/05
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- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/05/11
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■ [書留][儒教][先進第十一][宮崎市定]先進第十一を読む(その1) 
宇野先生の論語解題によれば、弟子の賢不賢について記した章句が中心とのこと。
吉川先生の解題も引き写しておきます。
この篇は、他の篇とは必ずしも同じでない性質をもっている。「論語」のおのおのの篇は、はっきりした分類の意識をともなって編集されてはいなけれども、似た内容の条が一個所にかたまってあらわれるという現象も、またあちこちに指摘される。そうした現象の一つとして、この篇では、弟子たちについての記述が多いのである。宋の朱子もそのことに注意して「此の篇は多く弟子の賢否を評す」といい、かつ胡氏の説を引いて、二十五章のうち、閔子騫の言行を記録したものが四章あるのは、閔子騫の門人が記録したからではないかという。
また弟子たちに対する批評は、往往にして、数人の弟子の性格なり言行を比較するというかたちで、与えられている。これは人間の性格、したがってまた生活の方法は、さまざまに分裂し、その間に価値の序列はおのずからあるけれども、同時にまた、それぞれに容認されるという認識、あるいは心情を、前提とするであろう。またそうした認識を前提としてもつゆえに、批評の目は、直接に批評される対象ばかりでなく、比較の媒介となるものにも向こうのであろう。
吉川幸次郎『論語』下 朝日選書
先進の礼楽におけるや
先進第十一(254~278)
254 子曰。先進於礼楽。野人也。後進於礼楽。君子也。如用之。則吾従先進。
(訓)子曰く、先進の礼楽におけるや、野人なり。後進の礼楽におけるや、君子なり。如しこれを用うるには、吾れは先進に従わん。
(新)子曰く、昔の人たちが身につけた教養は、田舎者流であった。今の人たちの教養は、すっかり文化人風になっている。どっちの教養が本物かといえば、昔の人たちの方だ。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-20
■ 施川まんが道~~施川ユウキ『え!? 絵が下手なのに漫画家に?』秋田書店 
チャンピオンで小出しに見せられてリビドーがエスでスーパーエゴと化してしまい、仕事が終わるなり買いに行ってしまいました。

え!?絵が下手なのに漫画家に? (ヤングチャンピオンコミックス)
- 作者: 施川ユウキ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2009/11/20
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■ アックスまんが道~~福満しげゆき『僕の小規模な生活』3 講談社 
おまけに「東村山あたりの夕日」がついていると言うことは、もうマガジン本誌で見ることはないのでしょうか?

- 作者: 福満しげゆき
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/20
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2009-11-19
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その16) 
色すれば斯に挙る
郷党第十(236~253)
253 色斯挙矣。翔而後集。曰。山梁雌雉。時哉時哉。子路共之。三嗅而作。
(訓)色すれば斯に挙る。翔(かけ)りて後に集(と)まる、とあり。曰く、山梁の雌雉(しち)、時なるかな、時なるかな、と。子路これを共せしに、三たび嗅いで作(た)ちたりき。
(新)古語に(雉の用心深さを歌い)気配に感じて舞い上ったが、空をひとまわりして後、おり立った、とある。孔子がこれを説明して、山間の懸け橋にとまりたる雌雉に、時期が大切だぞよ、時期を誤るな、と教えようとした詩であるぞ、と言った。この孔子の言は子路が雌雉の肉を供した時に発せられたもので、孔子はこのように言った後、子路の厚意を無にせぬため、三度嗅いだ後に席を立った。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-17

■ [筆記][漫画]森薫『乙嫁語り』1 エンターブレイン(その2) 
むしゃくしゃするのでアミルの歌ううたを引き写す。
あの山こえて
はるかな土地へ
いく夜を過ごす
天幕へ
月の光の
そそぐとき
枝にきて鳴く
白い鳥
あの娘の
ところへ
もうすぐ行くと
伝えておくれ
白い鳥
私の馬は
金の鳥
おまえに
乗せよう
こがねの鞍を
おまえに
かけるは
銀のはみ
鳥が空を
とぶように
青い草野を
駈けめぐる
森薫『乙嫁語り』1 エンターブレイン
七七―七五―七五 のリズムが転調して七が八にかわるあたり、上手ですが、元ネタがあるのでしょうか?

- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/10/15
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■ [筆記][伝奇]河田清史『ラーマーヤナ』上 レグルス文庫 第三文明社(その2) 

ラーマーヤナ―インド古典物語 (上) (レグルス文庫 (1))
- 作者: 河田清史
- 出版社/メーカー: 第三文明社
- 発売日: 1971/06/05
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■ [筆記][唐宋][武侠][伝奇][田中芳樹]ズィルヴァニアファミリー物語~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その2) 
またまちがえて消してしまいました。
- 田中芳樹先生と相性が悪い?
- 『黒竜譚異聞』もそうでしたからね。
- 人の悪口をいうものには報いがある?
- なにしろ今回は不満点を書き連ねましたからね。
- そもそもブログに直接入力が時代遅れ?
- エディタに書いて自動投稿……ハードルが高い。
- はてなのツール「はまぞう」がいつもアクセス集中で使えない。これがやはりナローの限界かも。

- 作者: 田中芳樹,伊丹シナ子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/11/06
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2009-11-16
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その14) 
寝ぬるに尸せず。
郷党第十(236~253)
252 寝不尸。居不容。見斉衰者。雖狎必変。見冕者与瞽者。雖褻必以貌。凶服者式之。式負版者。有盛饌。必変色而作。迅雷風烈必変。
(訓)寝ぬるに尸せず。居るに容(かたち)つくらず。斉衰(しさい)する者を見れば、狎(な)れたりと雖も必ず変ず。冕(べん)する者と瞽者(こしゃ)とを見れば、褻(な)れたりと雖も必ず貌(かたち)を以てす。凶服する者はこれに式す。負版する者に式す。盛饌(せいせん)あれば、必ず色を変じて作(た)つ。迅雷風烈には必ず変ず。
(新)寝につく時は両足をまっすぐに伸さない。休息している時は、身づくろいをしない。喪服を着た人に会うと、何度目であっても、表情を変え、礼服を着た者と目の不自由な人に会う時は、親しい仲でも身づくろいを改める。葬式の服装をした人には馬車の上から会釈する。喪章をつけた人にも会釈する。心尽しのもてなしにあえば、表情を改め、立ち上って謝意を述べた。大雷雨、強烈風のある時は、居ずまいを正して謹慎の意を表わした。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-13
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その11) 
君、食を賜えば
郷党第十(236~253)
248 君賜食。必正席。先嘗之。君賜腥。必熟而薦之。君賜生。必畜之。侍食於君。君祭先飯。疾。君視之。東首。加朝服。拖紳。君命召。不俟駕行矣。
(訓)君、食を賜えば、必ず席を正して先ずこれを嘗む。君、腥(せい)を賜えば、必ず熟してこれを薦む。君、生を賜えば、必ずこれを畜(か)う。君に食に侍するに、君祭れば先ず飯す。疾ありて、君、これを視れば、東首し、朝服を加え紳を拖く。君、命じて召せば、駕を俟(ま)たずして行く。
(新)君主から料理を分配された時は、必ず居ずまいを正した上で、自分が先ず試食する。君主から生肉のままで頂いたときは、必ずそれを煮たきして、先祖に供える。生き物を賜った時は、必ずそれを飼育する。君主に陪食する時、君主が先ず一箸をとって祭(そなえ)としたのを見ると、すぐ食べにかかる。病気にかかり、君主から見舞を受けた時は、東枕に寝ね、夜具の上に礼服をかけ、帯をのせる。君主から呼出しの命を受けた時は、馬車の準備を命ずると同時に歩き出す。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-12
■ [筆記][漫画]もうなんか、いろいろひどい~~杉浦茂『イエローマン』エンターブレイン 
杉浦茂、晩年の作品集ということで、こんな本が出ていたんですね。
杉浦茂の、あのひどさというのはたまらないわけですが。

イエローマン 杉浦茂シュールへんてこりん傑作選 (BEAM COMIX)
- 作者: 杉浦茂
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
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■ [筆記][伝奇]河田清史『ラーマーヤナ』上 レグルス文庫 第三文明社(その1) 
上巻読了。イメージとちょっと違っていました。

ラーマーヤナ―インド古典物語 (上) (レグルス文庫 (1))
- 作者: 河田清史
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2009-11-11
■ [筆記][漫画]森薫『乙嫁語り』1 エンターブレイン 
ヴィクトリア朝メイドの話とかきくと「けぇぇぇ~? くっだらねぇ」とか脊髄反射する私ですが、遊牧民から嫁が来る! これは!! とか即本屋に走ってしまうのです。絨毯織ってる暇もねえ。

- 作者: 森薫
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■ [筆記][唐宋][武侠][伝奇][田中芳樹]血を啜り、肉を喰らう~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その1) 
文庫化ということで読みました。面白かった。
面白かった、のですが、 不満も残りました。そう、わたしは欲張りなのです。饕餮なんです。

- 作者: 田中芳樹,伊丹シナ子
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■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その9) 
人を他邦に問わしむる
郷党第十(236~253)
246 問人於他邦。再拝而送之。康子饋薬。拝而受之。曰。丘未達。不敗嘗。
(訓)人を他邦に問わしむるには、再拝してこれを送る。康子、薬を饋(おく)る。拝してこれを受く。曰く、丘、未だ達せず。敢えて嘗めず、と。
(新)使者を他国に出して人を訪問させるときには、再拝して使者を送り出す。康子から薬を贈られた。拝してこれを受取った上、暫くしてから面会して言った。お笑いになるかも知れませんが、実は方位の心配がありまして、まだ頂くことをせずにおります、と。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-10
2009-11-08
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その7) 
食は精なるを厭わず
郷党第十(236~253)
243 食不厭精。膾不厭細。食饐而餲。魚餒而肉敗不食。色悪不食。臭悪不食。失飪不食。不時不食。割不正不食。不得其醬不食。肉雖多。不使勝(
食気)餼。唯酒無量。不及乱。沽酒市脯不食。不撤薑食。不多食。祭於公。不宿肉。祭肉不出三日。出三日。不食之矣。食不語。寝不言。雖疏食菜羹瓜。祭必斉如也。(訓)食(し)は精なるを厭わず、膾(かい)は細きを厭わず。食の饐(い)して餲(あい)し、魚の餒(たい)し肉の敗(やぶ)れたるは食わず。色の悪きは食わず、臭の悪きは食わず、飪(じん)を失えば食わず。時ならざるは食わず。割くこと正しからざれば食わず。其の醬を得ざれば食わず。肉は多しと雖も餼(いい)に勝たしめず。唯だ酒は量なし、乱に及ばず。沽酒(こしゅ)市脯(しほ)は食わず。薑(きょう)を撤して食わず。多くは食わず。公に祭れば肉を宿(とど)めず。祭肉は三日を出ださず。三日を出づれば、これを食わず。食うに語らず、寝ねては言わず。疏食菜羹瓜(そしさいこうか)と雖も、祭れば必ず斉如たり。
(新)米はついてしらげたほどよく、膾は細くきざんだほどよい。飯がすえて味がかわり、魚がくずれ、肉の古くなったのは食わぬ。色の変ったものは食わぬ。臭の悪くなったものは食わぬ。煮方をしくじったものは食わぬ。時候はずれのものは食わぬ。切れ目の形の悪いものは食わぬ。適当なソースでなければ食わぬ。肉は多くても、飯より多くはとらぬ。ただ酒だけは分量をきめないが、酔いつぶれてはならぬ。市場の店舗で売っている酒や乾肉は用いない。薑(はじかみ)をはねのけて肉だけを食うことをしない。食い過ぎをしない。君主の祭祀で分配された肉は、その日の中に処分する。家中の祭祀の肉も三日までに処置し、三日を過ぎたものは食わぬ。食事の際には長話をしない。寝についてからは物を言わない。平常と同じ米飯、野菜の汁、果物の類であっても、祭祀に用いる時には、必ずおずおずと敬しんで捧げたあと、粗末にしない。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-07
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その6) 
君子は紺緅を以て飾りとせず
郷党第十(236~253)
241 君子不以紺緅飾。紅紫不以為褻服。当暑袗絺綌。必表而出之。緇衣羔裘。素衣麑裘。黄衣狐裘。褻裘長。短右袂。必有寝衣。長一身有半。狐貉之厚以居。去喪無所不偑。非帷裳。必殺之。羔裘玄冠不以弔。吉月。必朝服而朝。
(訓)君子は紺緅(かんしゅう)を以て飾りとせず。紅紫は以て褻服(せつふく)と為さず。暑に当っては袗(ひとえ)の絺綌(ちげき)もてす。必ず表してこれを出す。緇衣(しい)には羔裘(こうきゅう)、素衣(そい)には麑裘(げいきゅう)、黄衣(こうい)には狐裘(こきゅう)。褻裘(せつきゅう)は長く、右袂(うべい)を短くす。必ず寝衣あり。長さ一身有半。狐貉(こかく)の厚き以て居る。喪を去れば偑(お)びざる所なし。帷裳(いしょう)に非ざれば、必ずこれを殺(さい)す。羔裘(こうきゅう)玄冠(げんかん)は以て弔せず。吉月には必ず朝服して朝す。
(新)(身分ある者は衣服にも制約があるのでそれを守った。)紺や緅色(くりいろ)で縁をとらない。紅や紫の色は平常着に用いない。暑中には麻の単衣(ひとえ)だが、必ず下着にあわせて着る。黒い服には子羊の毛皮、白い服には鹿の毛皮、黄色い服には狐の毛皮で上張りをつくる。平常着の毛皮の服はたけが長く、右の袂を短くする。寝るときは必ず寝巻きを着、身長よりも更に半分長い。狐や貉(むじな)の毛の厚い皮の敷物は休息の場合に用いる。喪に服するときでなければ、どんなアクセサリーを着けてもかまわない。祭服でなければ裳(もすそ)にひだをとらない。子羊の皮ごろもと、黒い冠は悔みに行く時には用いない。毎月朔日には必ず礼服を着て、君主にご機嫌伺いに行く。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-06
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その5) 
圭を執るには鞠躬如
郷党第十(236~253)
240 執圭。鞠躬如也。如不勝。上如揖。下如授。勃如戦色。足蹜蹜如有循。享礼有容色。私覿。愉愉如也。
(訓)圭を執るには鞠躬如たり。勝(た)えざるが如くす。上ぐるには揖するが如くし、下ぐるには授くるが如くす。勃如として戦(おのの)く色あり。足は蹜蹜として循(したが)うところあるが如し。享礼には容色あり。私覿には、愉愉如たり。
(新)(外国に使いした時、君主から預ってきた玉製の)圭を両手に捧げるには、前かがみになって、重荷を持ちあげているよう。高く挙げる時には顔の高さ、下げる時には腰の高さでとめる。緊張した顔色は、身ぶるいしているかのよう。歩くには摺り足でひきずるよう。公式の宴会にはゆったりした構えになり、個人的な付きあいになると、もっとくだけてにこやかにしていた。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-04
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その4) 
公門に入るには
子罕第九(206~235)
239 入公門。鞠躬如也。如不容。立不中門。行不履閾。過位。色勃如也。足躩如也。其言似不足者。摂斉升堂。鞠躬如也。屏気似不息者。出。降一等。逞顔色。怡怡如也。没階。趨進。翼如也。復其位。踧踖如也。
(訓)公門を入るには、鞠躬如たり。。容れられざるが如し。立つこと門に中(あた)らず、行くに閾を履(ふ)まず。位を過ぐるには、色、勃如たり、足、躩如たり。其の言は足らざる者に似たり。斉(もすそ)を摂(かか)げて堂に升(のぼ)るには、鞠躬如たり。気を屏(ひそ)めて、息せざる者に似たり。出でて一等を降れば、顔色を逞(はな)ち、怡怡如(いいじょ)たり。階(きざはし)を没(つく)して趨り進むには、翼如たり。其の位に復(かえ)りては、踧踖如たり。
(新)宮殿の正門を入るときには、前かがみに頭を下げて、天上がつかえたよう。門の中央では立ちどまらず、閾をまたぐ時に足で履まない。君主の座席の前を通るときは、顔付きがひきしまり、きびきびした足取りになる。口を利くには言葉短くすます。裾をつまんで階段から堂に上るときは、前かがみに頭を下げ、口をつぐんで息をのみこんだよう。堂から下りる時は、一階下るごとに、安堵の色が現われて、のびのびした顔付きになる。降りきって、小走りに進む時は、軽快に羽が生えたよう。庭中の自己の座席に戻ってくると、落着いた顔色にかえる。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫
2009-11-02
■ [書留][儒教][郷党第十][宮崎市定]郷党第十を読む(その3) 
君、召して擯せしむれば
子罕第九(206~235)
238 君召使擯。色勃如也。足躩如也。揖所与立。左右手。衣前後。襜如也。趨進。翼如也。賓退。必復命。曰。賓不顧矣。
(訓)君、召して擯(ひん)せしむれば、色、勃如(ぼつじょ)たり。足、躩如(かくじょ)たり。与に立つ所に揖するには、手を左右にし、衣の前後は襜如(せんじょ)たり。趨(はし)り進むには翼如たり。賓、退けば必ず復命して曰く、賓顧みずなりぬ。
(新)君主に命ぜられて賓客の招待をする時は、緊張した面持ちになり、きびきびした足取りで歩む。並んで立つ同僚に会釈するとき、手を左右に向けるたびに、衣服の前後がひらひらと動く。小走りに足を運ぶ時は、羽を拡げたように軽快だ。客が帰ったあと、必ず復命して、後を振りかえれられなくなるまでお見送りしました、と言った。
宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫