蜀犬 日に吠ゆ

2009-12-31

[][][][]顔淵第十二を読む(その2) 20:15 はてなブックマーク - 顔淵第十二を読む(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

門を出でては大賓を見るが如く

 顔淵第十二(279~302)

280 仲弓問仁。子曰。出門如見大賓。使民如承大祭。己所不欲。勿施於人。在邦無怨。在家無怨。仲弓曰。雍雖不敏。請事斯語矣。

(訓)仲弓、仁を問う。子曰く、門を出でては大賓を見るが如く、民を使うには大祭を承くるが如くす。己の欲せざる所は、人に施すことなかれ。邦にありて怨みなし。家にありても怨みなし。仲弓曰く、雍、不敏なりと雖も、請う、この語を事とせん。

(新)仲弓が仁とは何であるかを尋ねた。子曰く、家の門を一歩出たらば、いつも大事な賓客を接待するような張りつめた気持ち、人民を使役するにはいつも大切な祭祀を執行するような厳粛な態度。自分の欲しないことは、人に加えてはならない。一国の人民から怨まれることなく、一家の使用人から怨まれるようなことをしない。仲弓曰く、雍には出来るかどうかは分かりませんが、仰ったとおりに努めてみたいと思います。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-30

[][][][]顔淵第十二を読む(その1) 16:23 はてなブックマーク - 顔淵第十二を読む(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

己に克ち、礼に復える

 顔淵第十二(279~302)

279 顔淵問仁。子曰。克己復礼為仁。一日克己復礼。天下帰仁焉。為仁由己。而由人乎哉。顔淵曰。請問其目。子曰。非礼勿視。非礼勿聴。非礼勿言。非礼勿動。顔淵曰。回雖不敏。請事斯語矣。

(訓)顔淵、仁を問う。子曰く、己に克ち、礼に復(か)えるを仁と為す。一日、己に克ちて礼に復えらば、天下仁に帰せん。仁を為すは己に由る、而して人に由らんや。顔淵曰く、其の目を請い問う。子曰く、非礼は視る勿れ、非礼は聴く勿れ、非礼は言う勿れ、非礼には動く勿れ。顔淵曰く、回、不敏なりと雖も、請う、斯の語を事とせん。

(新)顔淵が仁とは何であるかを尋ねた。子曰く、私心に打ち勝ち、普遍的な礼の精神に立ち返るのが仁だ。殊に主権者は、一日だけでも私心に打ち克って礼に立ちかえるなら、天下の人民はその一日中、その仁徳になびくものだ。仁は個人の心がけの問題だ。相手によって変るものではない。顔淵曰く、もう少し詳しい御説明を願います。子曰く、礼に違うことは見ようとするな。礼に違うことには耳を傾けるな。礼に違うことは口に出すな。礼に違うことに身を動かすな。顔回曰く、回には出来るかどうかは分りませんが、仰ったとおりに努めて見たいと思います。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-29

[][][][]顔淵第十二を読む(その0) 19:46 はてなブックマーク - 顔淵第十二を読む(その0) - 蜀犬 日に吠ゆ

顔淵第十二 解題

顔淵第十二

(解説)この篇はすべて二十四章から成っている。

宇野哲人『論語新釈』講談社学術文庫

 宇野先生の「論語解題」がそっけないので、吉川先生の解題を引き写しておきます。

続きを読む

2009-12-28

[][][][]先進第十一を読む(その21) 22:38 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その21) - 蜀犬 日に吠ゆ

子路、曾晢、冉有、公西華、侍坐す

 先進第十一(254~278)

278 子路。曾晢。冉有。公西華。侍坐。子曰。以吾一日長乎爾。毋吾以也。居則曰。不吾知也。如或知爾。則何以哉。子路率爾而対。曰。千乗之国。摂乎大国之間。加之以師旅。因之以饑饉。由也為之。比及三年。可使有勇。且知方也。夫子哂之。求。爾何如。対曰。方六七十。如五六十。求也為之。比及三年。可使足民。如其礼楽。以俟君子。赤爾何如。対曰。非曰能之。願学焉。宗廟之事。如会同。端章甫。願為小相焉。点爾何如。鼓瑟希。鏗爾。舎瑟而作。対曰。異乎三子者之撰。子曰。何傷乎。亦各言其志也。曰。莫春者。春服既成。冠者五六人。童子六七人。浴乎沂。風乎舞雩。詠而帰。夫子謂然歎曰。吾与点也。三子者出。曾晢後。曾晢曰。夫三子者之言何如。子曰。亦各言其志也已矣。曰。夫子何哂由。曰。為国以礼。其言不譲。是故哂之。唯求則非邦也与。安見方六七十。如五六十。而非邦也者。唯赤則非邦也与。宗廟会同。非諸侯而何。赤也為之小。孰能為之大。

(訓)子路、曾晢(そうせき)、冉有、公西華、侍坐す。子曰く、吾れ一日爾に長ずるを以て、吾れを以てする毋れ。居りては則ち曰く、吾れを知らざるなり、と。如し爾を知るものあらば、則ち何を以てせんや。子路、率爾(そつじ)として対えて曰く、千乗の国、大国の間に摂(はさ)まれ、これに加うるに師旅を以てし、これに因るに饑饉を以てす。由やこれを為(おさ)め、三年に及ぶ比(ころ)おい、勇ありて且つ方を知らしむべきなり。夫子、これを哂(わら)う。求、爾は何如(いかん)。対えて曰く。方、六、七十、如しくは五、六十、求やこれを為め、三年に及ぶ比おい、民を足らしむべし。其の礼楽の如きは、以て君子を俟(ま)たん。赤、爾は何如。対えて曰く、これを能くすると曰うには非ず。願わくはこれを学ばん。宗廟の事、如しくは会同に、端章甫(たんしょうほ)して、願わくは小相と為らん。点、爾は何如。瑟を鼓すること希なり。鏗爾として瑟を舎(お)いて作(た)つ。対えて曰く、乎三子者の撰に異なり。子曰く、何ぞ傷まんや。亦た各々其の志を言うなり。曰く、暮春には、春服既に成る。冠する者五、六人、童子六、七人、沂(き)に浴し、舞雩(ぶう)に風し、詠じて帰らん。夫子、謂然(きぜん)として歎じて曰く、吾れは点に与せん。三子者出づ。曾晢後る。曾晢曰く、夫の三子者の言は何如。子曰く、亦た各々其の志を言うのみ。曰く、夫子、何ぞ由を哂うや。曰く。国を為むるには礼を以てす。其の言譲らず。是の故にこれを哂う。唯だ求は則ち邦に非ざるか。安(いずく)んぞ方六、七十、如しくは五、六十にして、邦に非ざる者を見んや。唯だ赤は則ち邦に非ざるか。宗廟、会同は諸侯に非ずして何ぞ。赤やこれが小たらば、孰れか能くこれが大と為らん。

(新)子路、曾晢、冉有、公西華の四人が、陪席していた。子曰く、今日は私が先生だからと言って少しも遠慮しないで話をしてもらいたい。諸君は雑談の折にいつも口癖のように、自分の才能を認めて用いてくれる人がない、と言っているが、もし本当に登用される機会があったら、何をしたいと思うかね。子路が待ってましたとばかりに口を開いた。戦車千乗を常備する一流国家で、強国の間に介在し、戦争で疲弊したあと、饑饉があって困窮したとします。私がその政治を任されたなら、三年もたった頃には、再び活気を取り戻し、その上に同義を尊重する国家を育てあげて見たいと思います。聞いていた孔子が意味あり気に笑った。求や、お前はどうだ。対えて曰く、六、七十里四方、いや、もっと小さい五、六十里四方の地域で、私が政治を任されましたなら、三年も立った頃には、人民の生活を豊かにしてみせたいと存じます。もっとも文化程度の向上という点になると自信がありませんから、もっと立派なかたがおいでになることを期待します。子曰く、赤や、お前はどうだ。対えて曰く、私は自信があっていうのではありませんが、希望だけ申しますと、宗廟における祖先の祭りや、賓客が集まる会同の際などに、端の礼服を着、章甫の冠をつけて、礼儀を助ける小相の役を果したいと思います。子曰く、点や、お前はどうだ。すると曾晢はこれまで、瑟を膝の上にのせ、ぽつりぽつりと、かそけく弾いていたのであるが、この時それをかたりと音をさせて傍におき、形を改めて居ずまいを正し、対えて曰く、私の考えは今までの方々とは余りに違いますので、困ります。子曰く、一向に差支えないではないか。みなそれぞれに自分の抱負を言ってみるだけだ。曰く、春四月ともなれば、春の装いに着かえ、若者五、六人、子供六、七人をひきつれて遊山に出、沂水の川で浴(ゆあみ)し、舞雩の広場で風に吹かれ、歌を口ずさみながら帰ってきましょう。それを聞いた孔子が深い歎息をもらして、曰く、私は点に賛成だ。三人が退出したあと、曾晢だけ居残った。曾晢曰く、三人の言ったことを、どうお聞きになりましたか。子曰く、みなそれぞれに自分の抱負を言ってみただけだ。曰く、でも先生は何故、由を笑われたのですか。曰く、国を治めるには礼をもってすべきで、自分でもそう言いながら、あまり謙虚でないことを言い出したから、おかしくなったのだ。次に求の自任する職場は、ひとかどの独立国だな。六、七十里四方、もしくは五、六十里四方の地域と言えば、立派な独立国の外にない。次に赤の立場も独立国らしいな。宗廟があり、会同を行うという以上、それは天子につぐ諸侯のことでなくて何であろう。それに赤は遠慮して小相になると言っているが、赤が小相なら、いったい誰がその上に立つ大相になれるだろうか。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 一見して明らかなように、「論語」の中で最も長い章である。また孔子のゆたかな、あたたかい性格を示すものとして、大変有名な章である。

吉川幸次郎『論語』下 朝日選書

 一目では分かりません。修行が足りない。

続きを読む

2009-12-26

[][][][]先進第十一を読む(その20) 18:40 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その20) - 蜀犬 日に吠ゆ

仲由、冉求は大臣と謂うべきか

 先進第十一(254~278)

276 季子然問。仲由冉求。可謂大臣与。子曰。吾以子為異之問。曾由与求之問。所謂大臣者。以道事君。不可則止。今由与求也。可謂具臣矣。曰。然則従之者与。子曰。弑父与君。亦不従也。

(訓)季子然、問う。仲由、冉求は大臣(だいしん)と謂うべきか。子曰く、吾れは子を以て、異るをこれ問うと為す。曾(すな)わち由と求とをこれ問う。いわゆる大臣なる者は、道を以て君に事え、可(きか)ざれば則ち止む。今、由と求や、具臣と謂うべきなり。曰く、然らば則ちこれに従う者か。子曰く、父と君とを弑するには、亦た従わざるなり。

(新)季子然が尋ねた。(この頃召し抱えた)仲由と冉求とは、大臣と呼ばれる資格がありますか。子曰く、はて、異な質問を承るものです。由と求とについてのお問いは予期しませんでした。しかし、お尋ねの大臣という者は、正義をもって主人に仕える者のことで、その正義を通してもらえなければさっさと地位を去ります。いま由と求とはそこまで行きませんから、頭数を揃えるだけの具臣と言っておけば間違いないでしょう。曰く、それなら何でも主人の命令通りに動きますか。曰く、父と君主とを弑するような場合には、決して従いますまい。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-25

孔子

[][]河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その3) 20:25 はてなブックマーク - 河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その3) - 蜀犬 日に吠ゆ

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その19) 20:25 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その19) - 蜀犬 日に吠ゆ

顔淵、後る

 先進第十一(254~278)

275 子畏於匡。顔淵後。子曰。吾以女為死矣。曰。子在。回何敢死。

(訓)子、匡に畏(い)す。顔淵、後る。子曰く、吾れ女を以て死せりと為す。曰く、子在す。回、何ぞ敢て死せん。

(新)孔子が匡で災難に罹った。顔淵がはぐれて姿を消し、やっっとのことで追いついた。子曰く、お前はもう死んだのかと思っていた所だ。曰く、先生が生きておいでになる限り、回はどんなことでもして生きています。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 その後のことを知っているだけに泣ける話ですねえ。

続きを読む

2009-12-24

[][]河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その2) 21:39 はてなブックマーク - 河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

続きを読む

[][]草食とか~~夏目漱石『彼岸過迄』新潮文庫 20:41 はてなブックマーク - 草食とか~~夏目漱石『彼岸過迄』新潮文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 草食男子がどーのこーのと言っている人がいて、「最近の若い者は」的ないつものくり返しだろうと思ったのですが、出典も無しに言うのもなんなので、確か結婚も就職もするつもりがない主人公の話があったな。と本棚を探るも当然無いのでまた入手しなおし。

彼岸過迄 (新潮文庫)

彼岸過迄 (新潮文庫)

 かかる開化の影響を受ける吾等は、上滑りにならなければ必ず神経衰弱に陥いるに極っているという理由を、臆面なく聴衆の前に曝露した。そうして物の真相は知らぬ内こそ知りたいものだがいざ知ったとなると、却って知らぬが仏で済ましていた昔が羨ましくって、今の自分を後悔する場合も少なくはない、私の結論なども或はそれに似たものかも知れません

夏目漱石『彼岸過迄』新潮文庫 p285

 そうしたら、主人公は私の思っていた無職の男ではなかったので、またしても衝撃。どうも、私が昔読んだ本の内容はほぼ忘れられ、忘れるだけならまだしも出鱈目に塗り替えられている様子。

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その18) 19:42 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その18) - 蜀犬 日に吠ゆ

聞けば斯にこれを行う

 先進第十一(254~278)

274 子路問聞斯行諸。子曰。有父兄在。如之何其聞斯行之。冉有問聞斯行諸。子曰。聞斯行之。公西華曰。由也問聞斯行諸。子曰。有父兄在。求也問聞斯行諸。子曰。聞斯行之。赤也惑。敢問。子曰。求也退。故進之。由也兼人。故退之。

(訓)子路、聞けば斯(ここ)にこれを行う、(の語を)問う。子曰く、父兄の在(いま)すあり、これを如何ぞ其れ、聞いて斯にこれを行わんや。冉有、聞けば斯にこれを行う、を問う。子曰く、聞いて斯にこれを行うなり。公西華曰く、由や、聞けば斯にこれを行う、を問いしに、子曰く、父兄の在すあり、と。求や、聞けば斯にこれを行う、を問いしに、子曰く、聞いて斯にこれを行うなり、と。赤や惑う。敢えて問う。子曰く、求や退く。故にこれを進む。由や人を兼ぬ。故にこれを退く。

(新)子路が尋ねた。聞けば斯にこれを行う、という言葉がありますが、どういう意味を含んでいるのでしょうか。子曰く、父兄の存命中には、聞けばすぐにこれを行う、ということはあり得ないはずだ。冉有が尋ねた。聞けば斯にこれを行う、という言葉がありますが、どういう意味を含んでいるのでしょうか。子曰く、文字どおり、聞けばすぐにこれを行う、ことが大事だ。今度は公西華が尋ねた。由が、聞けば斯にこれを行う、の意味を尋ねた時に先生は、父兄が存命中のことを考えろ、と言われました。次に求が、聞けば斯にこれを行う、の意味を尋ねたときに先生は、聞けばすぐにこれを行え、と教えられました。赤は合点がまいりませんので、重ねてお尋ねしたいと思います。子曰く、求は引込み思案だ。だから元気をつけた。由は押しが強い。だからたしなめておいた。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 目ざすべきは中庸

続きを読む

2009-12-22

[][][][]先進第十一を読む(その17) 22:32 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その17) - 蜀犬 日に吠ゆ

迹を践まざれば、亦た室に入らず

 先進第十一(254~278)

272 子張問善人之道。子曰。不践迹。亦不入於室。

(訓)子張、善人の道を問う。子曰く、迹(あと)を践まざれば、亦た室に入らず。

(新)子張が善人の道は何かと尋ねた。子曰く、善人の歩いた迹をついて行かなければ、善人の室へは這入れない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 述べて作らず、信じて古を好むと共通する内容と見てよいでしょう。

続きを読む

2009-12-21

[][][][]先進第十一を読む(その16) 19:58 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その16) - 蜀犬 日に吠ゆ

子曰く、回や其れ屢々空しきに庶し

 先進第十一(254~278)

271 子曰。回也其庶乎。屢空。賜不受命。而貨殖焉。億則屢中。

(訓)子曰く、回や其れ庶いかな。屢々空し。屢々空しきに庶し。賜は命を受けずして貨殖す。億(はか)れば則ち屢々中(あた)る。

(新)子曰く、回は年中貧乏暮らしというところ。賜は命ぜられなくても、金儲けに熱心だ。彼の見通しは大てい的中する。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 通常の訓を正すのは久しぶり?

続きを読む

2009-12-19

[]召使の者に不行跡の者あれば 22:01 はてなブックマーク - 召使の者に不行跡の者あれば - 蜀犬 日に吠ゆ

 主人が僕を辞めさせるときのやり方。

葉隠聞書第一

九六 山本前神右衛門、召使の者に不行跡の者あれば、一年のうち、何となく召し使ひ、暮になりて候てより無事に暇を呉れ申し候。

和辻哲郎・古川哲史校訂『葉隠』岩波文庫

 やめさせるときにも、理由はいらない。



[][][]『孟子』離婁章句下 19:29 はてなブックマーク - 『孟子』離婁章句下 - 蜀犬 日に吠ゆ

大人は、言必ずしも信ならず

 一一

孟子曰、大人者言不必信、行不必果、惟義所在、


 孟子曰く、大人は、言必ずしも信ならず、行(おこない)必ずしも果たさず、惟義の在る所のままにす。

   一 大人は言必ずしも信ならず、論語子路篇いう、言は必ず信あらんとし、行は必ず果たさんとするは、硜硜然として小人なるかな。  二 果、遂行する、決行する。


 孟子がいわれた。「(言行一致は美徳にはちがいないが)、大徳の人は言ったことを必ずしも実行するとはかぎらないし、やりかけたことを是が非でもやり遂げるとはかぎらない。ただ義に従って適宜に行うまでのことだ。」

小林勝人訳注『孟子』岩波文庫

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その15) 19:59 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その15) - 蜀犬 日に吠ゆ

柴や愚、参や魯、師や辟、由や喭

 先進第十一(254~278)

269 柴也愚。参也魯。師也辟。由也喭。

(訓)柴や愚、参(しん)や魯、師や辟、由や喭なり。

(新)(子曰く)高柴は馬鹿正直、曾参は血のめぐりが鈍い、顓孫師は見栄ぼう、仲由はきめが荒いぞ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-17

[][]河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その1) 20:08 はてなブックマーク - 河田清史『ラーマーヤナ』下 レグルス文庫 第三文明社(その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

ラーマーヤナ―インド古典物語 (下) (レグルス文庫 (2))

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その1420:42 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その14) - 蜀犬 日に吠ゆ

小子、鼓を鳴らしてこれを攻めて可

 先進第十一(254~278)

269 季氏富於周公。而求也為之聚斂而附益之。子曰。非吾徒也。小子鳴鼓而攻之。可也。

(訓)季氏、周公よりも富む。而して求や、これが為に聚斂(しゅうれん)してこれに附益す。子曰く、吾が徒に非ざるなり。小子、鼓を鳴らしてこれを攻めて可なり。

(新)季氏は昔の周公よりも財産が豊かであった。ところが求は季氏の代官となって、税をきびしく取り立てて、更に財産を増やしてやった。子曰く、彼はもう学徒とは言えない。諸君はデモに押しかけて行って攻撃しても構わない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-16

[][]34 糧を求める 20:48 はてなブックマーク - 34 糧を求める - 蜀犬 日に吠ゆ

34 糧を求める(喫糧)

 孔子が陳の国で兵糧攻めにあい給い、弟子の顔回に回々(ホイホイ)国(アラビア)に糧を借りに行くよう命ぜられた。彼の名とその国号と同じ好(よし)みで、同情を寄せてくれるだろうと期待されたからである。ところが行ってその旨を通じると、かの国では大いに怒って、

「なんじ孔子は夷狄を攘(はら)わんと欲し、われら回々を怪しんでいる。現にお前のことさえ罵って『回の人と為りや択(ツェイ)(賊)か』といった。糧は断じて与えるわけに行かぬ」

 との返事に、顔子はべそをかいて帰って来た。

 すると子貢が自分をやって下さいと申し出た。自分はかねて彼らのごきげんを取って、「賜(子貢の名)や何ぞ敢て回々(ホイホイ)を望まん」といつもいっているから大丈夫だというのだ。果たして回々国の人々は大いに喜んで、とりあえず白米一担を持ち帰らせ、あとからどんどん送ってあげますと約束してくれた。子貢が帰ってそのことを孔子に述べると、孔子は眉を寄せていわれた。

「糧は一担かたり取ったが、ただ文理が通ぜぬぞ」


 注 『中庸』の「回の人と為りや中庸を択えべるか」および『論語』の「賜や、何ぞ回(顔回)を望まん」の語をかけている。

馮夢竜撰・松枝茂夫訳『笑府』中国笑話集(上) 岩波文庫1983

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その13) 20:53 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その13) - 蜀犬 日に吠ゆ

過ぎたるは猶お及ばざるがごとし

 先進第十一(254~278)

268 子貢問。師与商也孰賢。子曰。師也過。商也不及。曰。然則師愈与。子曰。過猶不及。

(訓)子貢問う、師と商と孰れか賢(まさ)れる。子曰く、師や過ぎたり。商や及ばず。曰く、然らば則ち師愈(まさ)れるか。子曰く、過ぎたるは猶お及ばざるがごとし。

(新)子貢が尋ねた。師と商とでは、何方が上ですか。子曰く、師は行きすぎる方だし、商は不足する方だ。曰く、それなら師の方が上ですか。子曰く、行き過ぎと不足とに上下はない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 中庸、ですね。

続きを読む

2009-12-15

[][][][]先進第十一を読む(その12) 20:53 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その12) - 蜀犬 日に吠ゆ

由の瑟

 先進第十一(254~278)

267 子曰。由之瑟。奚為於丘之門。門人不敬子路。子曰。由也升堂矣。未入於室也。

(訓)子曰く、由の瑟(しつ)、奚(なん)すれぞ、丘の門に於てせん。門人、子路を敬せず。子曰く、由や、堂に升(のぼ)れり。未だ室に入らざるのみ。

(新)子曰く、由の琴のひきようは、私の家でするには不向きだな。それを聞いて門人たちが、子路をあなどり始めた。子曰く、由の手並みは世間の水準以上なんだ。ただ私の注文どおりにはまだ及ばないと言っただけだ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 こういう事ありますよね。けなされたことのない人が、けなされた人を馬鹿にする。

 子路は兎も角、けなされた人も、「試される場に出た」というだけで、何もしない人たちよりもずっと価値があるのに。

続きを読む

2009-12-14

[][]柴田錬三郎『由井正雪』講談社文庫 21:49 はてなブックマーク - 柴田錬三郎『由井正雪』講談社文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 久能山で、由井正雪の夢は潰える。

由井正雪―柴錬痛快文庫 (講談社文庫)

由井正雪―柴錬痛快文庫 (講談社文庫)

続きを読む

[][]山田玲司『絶望に効く薬』15 小学館 20:22 はてなブックマーク - 山田玲司『絶望に効く薬』15 小学館 - 蜀犬 日に吠ゆ

 ヤングサンデーはもうなくなっていたんですなあ。まったく気にしていませんでしたが、「ゼツヤク」第一シリーズ終了。

絶望に効くクスリ ONE ON ONE 15 (ヤングサンデーコミックススペシャル)

絶望に効くクスリ ONE ON ONE 15 (ヤングサンデーコミックススペシャル)

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その11) 21:38 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その11) - 蜀犬 日に吠ゆ

閔子、側に侍す

 先進第十一(254~278)

265 閔子侍側。誾誾如。子路。行行如。冉有。子貢。侃侃如。子楽。若由也。不得其死然。

(訓)閔子、側に侍す、誾誾如たり。子路、行行如たり。冉有、子貢、侃侃如たり。子楽しむ。由の若くんば、其の死然を得ざらん。

(新)孔子に陪席する人たちのうち、閔子は裃をきたように四角ばっており、子路は意気軒昂たるものがあり、冉有、子貢は人なつこい顔をしていた。孔子もいと満足気であった。(子曰く)由のようだと、畳の上で死ねそうもないのが心配だ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 また、宮崎先生ってば、「畳の上で」ですって。ははは

続きを読む

2009-12-13

[][][][]先進第十一を読む(その10) 23:43 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その10) - 蜀犬 日に吠ゆ

未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん

 先進第十一(254~278)

264 季路問事鬼神。子曰。未能事人。焉能事鬼。曰。敢問死。曰。未知生。焉知死。 

(訓)季路、鬼神に事(つか)うるを問う。子曰く、未だ人に事うる能わず、焉んぞ能く鬼に事えん。曰く、敢て死を問う。曰く、未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。

(新)季路が先祖の霊を慰めるにはどうすればよいかと尋ねた。子曰く、生きている人を慰めることができないでいて、どうして死んだ人を慰められるものか。曰く、死とはどういうことですか。子曰く、生きることの意味が分らないで、どうして死の意味が分ろうか。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-10

[][][][]先進第十一を読む(その9) 21:23 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その9) - 蜀犬 日に吠ゆ

門人、厚くこれを葬らんと欲す

 先進第十一(254~278)

263 顔淵死。門人欲厚葬之。子曰。不可。門人厚葬之。子曰。回也。視予猶父也。予不得視猶子也。非我也。夫二三子也。

(訓)顔淵死す。門人、厚くこれを葬らんと欲す。子曰く、不可なり、と。門人、厚くこれを葬れり。子曰く、回や、予を視ること猶お父の如かりき。予は視ること猶お子のごとくするを得ず。我に非ざるなり。夫の二三子なり。

(新)顔淵が死んだ。孔子の門人たちが派手な葬式を出したいと計った。子曰く、それはいかぬ。しかし門人たちはとうとう派手に式を行った。子曰く、回はこの私を生みの父のように慕っていた。ところがこの私は回を自分の子のように取り扱うことが出来ずにしまった。私自身のせいではない。誰やらが余計なことをしたせいだ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 「生みの父」ってなんやねん。

続きを読む

2009-12-07

子貢

[][][][]先進第十一を読む(その8) 21:22 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その8) - 蜀犬 日に吠ゆ

子、これを哭して慟す。

 先進第十一(254~278)

262 顔淵死。死哭之慟。従者曰。子慟矣。非夫人之為慟。而誰為。

(訓)顔淵死す。子、これを哭して慟す。従者曰く、子、慟するか。曰く、慟あらんには、夫の人の為に慟するに非ずして、誰が為にせん。

(新)顔淵が死んだ。孔子が身体を投げ出して泣きくずれた。従者曰く、先生、あまりおなげきになっては、お身体にさわります。曰く、何も言ってくれるな。あの人のことだけは、泣けるだけ泣かせてくれ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

 従者=子貢でキマリ!

続きを読む

2009-12-05

[][][][]先進第十一を読む(その7) 16:30 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その7) - 蜀犬 日に吠ゆ

噫、天、予を喪すか

 先進第十一(254~278)

261 顔淵死。子曰。噫。天喪予。天喪予。

(訓)顔淵死す。子曰く、噫(ああ)、天、予を喪(ほろぼ)すか。天、予を喪すか。

(新)顔淵が死んだ。子曰く、ああ、お天道さまは私を亡す気か、私は死んでしまったも同然だ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-04

[][][][]先進第十一を読む(その6) 20:05 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その6) - 蜀犬 日に吠ゆ

顔路、子の車を請い

 先進第十一(254~278)

260 顔淵死。顔路請子之車。以為之椁。子曰。才不才。亦各言其子也。鯉也死。有棺而無椁。吾不徒行以為之椁。以吾従大夫之後。不可徒行也。

(訓)顔淵死す。顔路、子の車を請い、以てこれが椁(かく)を為(つく)らんとす。子曰く、才、不才あるも、亦た各々其の子と言うなり。鯉(り)や死せしとき、棺ありて椁なし。吾れ徒行して以てこれが椁を為らざりしは、吾れは大夫の後に従い、徒行すべからざりしを以てなり。

(新)顔淵が死んだ時、父の顔路が孔先生の車を貰って、それで外棺を造りたいと願った。子曰く、才と不才の違いはあっても、人はそれぞれ自分の子がある。私の子の鯉が死んだ時、内棺だけあって外棺はなかった。私が車をなくして歩行してまで、子のために外棺を造らなかったのは、私はこれでも大夫の位の席末につらなっていて、大路を車に乗らず、徒歩で往来するわけに行かなかったからだ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-03

[][]河田清史『ラーマーヤナ』上 レグルス文庫 第三文明社(その4) 21:07 はてなブックマーク - 河田清史『ラーマーヤナ』上 レグルス文庫 第三文明社(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

ラーマーヤナ―インド古典物語 (上) (レグルス文庫 (1))

ラーマーヤナ―インド古典物語 (上) (レグルス文庫 (1))

続きを読む

[][][][]先進第十一を読む(その5) 20:05 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その5) - 蜀犬 日に吠ゆ

弟子孰れか学を好むと為す

 先進第十一(254~278)

259 季康子問。弟子孰為好学。孔子対曰。有顔回者好学。不幸短命死矣。今也則亡。

(訓)季康子問う、弟子(ていし)孰(た)れか学を好むと為す。孔子対えて曰く、顔回なる者ありて学を好む。不幸、短命にして死せり。今や則ち亡し。

(新)121と殆ど同文、ただ季康子が哀公になっているだけ。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む

2009-12-01

[][][][]先進第十一を読む(その4) 21:14 はてなブックマーク - 先進第十一を読む(その4) - 蜀犬 日に吠ゆ

孝なるかな閔子騫

 先進第十一(254~278)

257 子曰。孝哉閔子騫。人不間於其父母昆弟之言。

(訓)子曰く、孝なるかな閔子騫。人、其の父母昆弟(の言に間せず)を間するの言あらず。

(新)子曰く、孝行者といえば閔子騫だ。誰も彼の父母昆弟の悪口を言う者がない。

宮崎市定『現代語訳 論語』岩波現代文庫

続きを読む